第256話 介護施設で

介護施設のある職員が犯罪を犯していることを知っている




最近、高齢者が亡くなる事が多くなった。しかし、元々90歳を超えていたり、余命宣告を受けていたが自宅で逝きたいという人だったりで、司法解剖などは行われていない




つまり、自然死として扱われている




私が知ったのは偶然だった。夜中、急に嫌な予感がしてある職員が担当している部屋を見に行きたくなった。本来は誰か一人は電話口で待機しておらねばならず、絶対に私がこの部屋に来ることは無いはずだった




そのため、その職員は周りをうかがう事もしないでコトを起こしていた




寝ている高齢者の点滴チューブに何かを入れたようだ。私は慌てて、しかし音を立てないように部屋を後にした




次の日の朝、その高齢者は亡くなっていた。しかし、事件性は無いという事で処理されるはずだった




「あのっ!」




私は一人の警察官に声を掛けた。偶然、亡くなられた老人の孫が警察官だったのだ




私は見た事をと告げると、その高齢者の遺体は司法解剖に回された。結果、未知の成分が検出されたらしい。ただ、未知の成分だけにそれが原因での死亡かどうかは結局不明なままだった




現在、その職員は相変わらず職場に勤めている。証拠不十分で逮捕に至らなかったからだ。それ以来、死亡者は激減したのだが、もし私が警察に言ったことがばれたら……




でも、私も老人を殺す楽しみを止められないのでこの職場を移るつもりはない


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