第254話 残業禁止

残業禁止命令が出た




しかし、仕事の量は変わらずだ。当然、個人情報のからみもあって仕事を家に持ち帰ることも出来ない




「はぁ、残業しないで納期を間に合わせろとか……せめてサービス残業くらい見逃せよ」




一回ブラックとして労基から目を付けられているので、残業には厳しい。パソコンの使用時間制限があって5時になったら電源が落ちるのだ




家に帰って仕事の事を考えながら寝てしまった。しかし、夢の中で会社のパソコンの前に居た




「ちょうどいい、このまま仕事をしよう」




不思議なことに、夢でやった仕事が次の日に本当にやってあった。それが数日行えた




「おい、寝るなよ、さすがにやばいぞ」




「ん? 仕事していたぞ?」




「完全に目をつぶっていただろうが!」




「いや、見ろよ」




「……あれ? 本当だ。見間違いか?」




日中でも目をつぶれば仕事を行える。幽体離脱と言う奴だろうか?




それから1か月が過ぎた。俺は毎日会社が終わると家で寝て、幽体離脱し会社の仕事をする。気が付くとほぼ24時間仕事をしていたかもしれない




「おい、寝るなよ……うわっ!」




「どうした? 起きろ……つ、つめたい!」




同僚たちが俺のほっぺたを叩いたりゆすったりしている。そろそろ体に戻るか……戻れねぇ!




俺の体は救急車で運ばれていった。俺は幽体のまま仕事を続けた方がいいのだろうか?

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