第198話 テニスの大会で

中学のテニスの県大会




私には姉がいた




私も姉も、親の勧めでテニスをしていた




お互いをライバルと思い、切磋琢磨して実力をつけ、2人とも大会に出られるほどになった




しかし、今年の夏は暑く、水分を補給する時間も惜しく練習していた姉は、練習中に熱中症で倒れた




すぐに病院に搬送されたが、そうとう急激に水分を失っていたのか、姉は意識が戻らないままこの世を去った




その後、私は一人で練習を続け、こうして大会に出ている




しかし、準決勝になって私は足首をひねってしまった。病院へ行くほどの痛みは感じないが、いつも通りの動きは発揮できないだろう




「悔しいっ!」




私はボロボロと涙を流す。すると、にじんだ視界に姉が見えた気がした




それと共に、足の痛みも引いた




私は不思議に思いながらも、全力で試合をして決勝で勝つ事が出来た




「ありがとう、お姉ちゃん!」




私がそう言った時、急に捻挫が痛み出した。私は痛みに倒れ込み、救急車が呼ばれた




「これは、骨折していますね」




医者が言うには、捻挫にさらに無理に力がかかったために折れたのかもしれないという事だった




「本来は、こうなる前に動けないほどの痛みがあるのですが・・」




医者は不思議なものだと首を傾げた




あの時、もしかしたら姉が乗り移っていたのかもしれません




そして、姉は無痛無汗症だったのではないでしょうか・・・


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