第197話 長い髪の毛

山道を散歩することにした




俺は癖なのか、いつも気が付いたら口を開けて歩いているようだ




たまに小さな虫が口に入るから止めたいと思うが、気が付くと口が開いている




その日、歩いていると顔にクモの巣がついた




何も無いところでクモの巣が顔にかかるのって何なんだろうな? 




俺はなかなか摘まめないクモの巣にイライラしながらも外した




しばらく歩いていると、また口が開いていたのか口に何か入った




舌で違和感を探ると、髪の毛の様だ。まあ、これもたまにある




舌で髪の毛を押し出して指で摘まむと、ずるずると1mくらいの髪の毛が出てきた




「は?」




その髪は真っ黒で、少し茶髪に染めている俺の物ではない。そもそも俺は短髪だ




気持ちが悪くなって周りを見たが、木があるだけで当然人の気配はない




散歩する気が失せたのでその日は帰った




夜中に、胸騒ぎがして目が覚めた。が、とりあえず尿意を覚えたのでトイレに行こうとドアを開けた時、足に引っかかるものがあった




また髪の毛だった




俺の家族にも長髪の人は居ない。彼女も居ない




まるでピアノ線のトラップのような髪の毛を外してゴミ箱に入れてトイレに行った




次の日の朝、ゴミを捨てようとゴミ箱を見ると、大量の髪の毛が入っていた




俺は人に恨まれるようなことをした覚えはない

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