第152話 プールで

「ここのプールって出るらしいよ」




「出るって何が?」




「昔、ここで溺れた生徒の幽霊よ」




「単なる噂でしょ? さすがにそんなにデカい出来事なら親とか知ってそうだし」




「それがね、その生徒って転校していたはずだったんだって」




「うちの生徒じゃ無くなったからニュースにならないって事? そんなわけないじゃん」




「みて、この新聞のこの記事、〇〇高校の〇〇が行方不明って書いてあるでしょ?」




「行方不明なの? じゃあ、なんで溺れた生徒の幽霊って知ってるの?」




「私、見たのよ。プールで溺れる幽霊を」




「へっ? 幽霊が溺れてるの?」




「新学期が始まる9月1日の夕方に現れたのよ。そして、その子が転校したのもその日よ」




「今日……なの?」




「ほら、聞こえるでしょ? プールでバシャバシャってする音が」




「え? 聞こえないよ?」




「嘘! ほら、ばちゃ、ばちゃって……」




「何も見えないし」




「ほら、ガチャって扉を開ける音が……」




「……」




その時、彼女の足を見えない何かが掴んであっというまにプールへ引き込んでしまった




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