第133話 肝試しより怖い

大学の友達3人と、社会人で免許を持っている俺の兄貴の4人で肝試しに行った





岐阜から長野あたりにあるという、廃村に向かった





良く分からない山道をくねくねと進み、木造の建物らしきものが見えてきた





「ここが、地図にも無い村か?」





兄貴がカーナビを見るが、道の表示すら無い場所だ





「降りてみよう」





4人で車から降りて付近を探すことにした





懐中電灯で照らしても、木ばっかりで光がとおらないため、少し先に進むだけで何もかも見失いそうだ





しばらくすると、「うわぁ」と言う声がしたので、皆で探しに行った





懐中電灯で照らすと、四足歩行の動物が逃げて行った





「大丈夫か?」





声とかけると、「足をかまれた」と言って足を抑えている





「一旦帰ろう」





傷口に一応ハンカチを巻いて止血すると、車に乗って帰ることになった





それからしばらくして、噛まれた友達からメールが入った





「インフルエンザにかかったかもしれない」





インフルエンザなら、移るかもしれないから見舞いには行けないだろうと思い、メールで「お大事に」と送った





友達は一人暮らしだったので、1週間ほどしたら何か持って行ってやろうと思う





1週間経っても大学の講義に顔を出さないので、他の友達と見舞いに行くことにした





アパートのチャイムを鳴らすと、「誰だ!」と怒鳴る声が聞こえた。





「大丈夫か?」





ドアノブを捻ると、鍵は開いているようだった





「入るぞ」





そう言って入った部屋は散らかっていた





パジャマを着た友達は、ひげが伸び放題で、臭いもする





「風呂に入っていないのか?」





「水が、怖い」





そう言って洗面所にすら近づいていないのだろう





息が荒く、目がうつろで、叫んだりしている





心配だったので、病院に連れて行くと、狂犬病だと判断された





その後、その友達は亡くなってしまった





幽霊よりも怖いと思った

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