第130話 車中泊
私は、車中泊をしていました
仕事は、建設時の足場を組む事です
仕事柄、県外に移動することも多く、ネットカフェよりも安く済む車の中で生活をしていました
着替えや道具などは全てハイエースの中に積んであります
風呂は、1週間で2回銭湯へ。夏場は公園などで夜中に水浴びをして済ませたりもしました。洗濯物は溜まったらコインランドリーで洗いました
ある時、トイレのある道の駅の駐車場に車中泊をしていた時の事です
夜中に、車に近づいてくる足音が聞こえました
不審車両として通報されたのかなと思いました。数日泊めていると、さすがに無断駐車とバレますので
ハイエースの後ろ側はすべてスモークが貼ってあり、外の様子は見えません
めんどうな事になったなと、その時は思っていました
大抵、警察であればガラスをコンコンとノックして、声を掛けてきます
私は、寝袋から出ると、様子を見ました
すると、いきなりガラスにバンッと手のひらで叩く音がしました
警察よりもやっかいな、不良や私以上の不審者に絡まれる可能性を感じました
私は、せめて無人車両を装うように、息を殺しました
すると、車を一周するようにバンッ、バンッと叩いてきます
これは絡まれたかな? と冷や汗を流しながら、フロントを見つめました
フロントにもバンッと手の跡が付きました。しかし、肝心の手が見えません
「なんだこれは!」
私は思わず声を出してしまいました
「いるじゃん」
私の背後から、そう声が聞こえた瞬間、意識が遠くなるのを感じました
気が付くと、朝になっていてすでに駐車場には車が入ってきています
私は車の外に出ると、昨日の出来事が夢ではないようで、車に手形が残っていました
幸い、手形自体は拭き取ると消えましたが、それ以来、私は車中泊を止めました
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