第107話 お礼2

わしらは畜産農家を営んでおった




息子が起業すると言うので、やめろといったんじゃが、その後、普通に就職するからと言うので、身元保証人の実印と印鑑証明を貸したのが悪かったのか、勝手に銀行から金を借りたらしく、わしらは連帯保証人になっておった




案の定、息子の会社は事業に失敗し、借金のかたに農場も取られてしまった




わしは妻と、かわいい柴犬のベスと一緒にわずかながらかけていた年金で暮らすことになった。家賃の安い貸屋が見つかったので、そこに引っ越した




しばらくすると、ご近所から旅行のお土産を貰うようになった。わしはあまりお金が無いので、近所でもらったお土産の又渡しや、デパートで安いお菓子を買ってきて渡した




あるとき、高級な肉を貰った。わしの慣れた目でも脂のさし具合が良く、A5ランクの高い肉だと分かる。懸賞で当たったらしく、無料だからお返しは良いと言うが、こんなに高級な肉は久しぶりだから、何かお返しがしたい




そんなとき、タイミングが悪く息子が来た




「何自分たちだけ高い肉買ってやがるんだ!!俺は金が無くて米ばっかりだっていうのによ!犬まで飼う余裕があんのか?」




息子はそう言って、わしらが可愛がっていたベスを蹴り殺してしまった




わしは、怒りで頭が真っ白になって、気が付いたら息子を包丁で刺してしまっていた




「なんてことをしてしまったんじゃ・・・」




後悔しても、もう遅い。ふと、ご近所からもらった高級肉が目に入った




息子の腹の肉も高級肉に負けていまい。わしらは、ご近所におすそ分けすることにした

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