第96話 墓参りで

暑くなる前に朝早くに墓参りへ行った




墓は山の中腹にあり、あたりは木で囲まれているため薄暗い




他に墓参りに来ている人は居ないと思っていた




水を汲みに水道の所へ行く




すると、目の端に人影のようなものが見えた気がしたので、そちらを向くと誰も居なかった




「おかしいな?」




少し不気味に感じた私は、思った事を声に出していた




墓の花瓶に水を入れて花を添え、目をつぶる




目を開けると、いつの間にか墓参りに来た人が居たようだ。一番奥の墓の前で黒い服を着た女性が見える




「わざわざ喪服で来る人が居るなんて」




私は、そう呟いたつもりだった




「そう?」




いつの間にか、私のすぐ後ろにその女性が立っていた

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