第91話 空き地で
「ほら、ここの空き地ですよ」
見ると、東京の1等地に10坪ほどの空き地があった
「駐車場にすれば儲かりそうなのに、なんで空き地なんだ?」
「それが、出るんだそうです」
「地上げ屋か?」
「違います。幽霊です」
「この世の中にか?」
「私も実際に見たわけではないのですが」
部下の話では、ここの地面を掘ろうとすると、必ず事故が起こるそうだ
どんなに注意をしていても、草刈ですら足を切ったり、チップソーがかけて飛んで来て失明したりしているらしい
スコップで掘ろうとした人ですら、スコップの柄が急に折れて、折れたスコップに刺さったらしい
幸い、死者はでていないらしい
「ドラム缶に入った死体が下に埋まっているそうです」
「でも、掘れないんだろう?」
「そうですね。金属探知機でも使ってみますか?」
もし、ドラム缶があれば探知機が反応するだろう
後日、金属探知機を持ってくることにして、草だらけの空き地を眺める
すると、老人が通りかかって声をかけてきた
「お前たち、ここに近づくのは止めた方がいい」
「幽霊が出るからですか?」
「そうではない。ここだけの話、下に不発弾が埋まっているんだ」
「社長……」
「ああ、ここに手を出すのは止めよう」
老人は、2人が去っていくのとみて呟いた
「これで当分、わしが埋めた死体が見つかることは無いな」
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