「こっちだよ」

「誰？」

「こっちにおいで」

「どうしてそっちに行かなければならないの？」

「こっち、こっちだよ」

「こっちって言ってるくせに追いつけないじゃない！」

「こっち」

「もぉ、どこに連れて行くの？」

「ほら、この穴を覗いてごらん」

「地面の穴？」

「この地面の穴に面白いものが見えるんだよ」

「どんなものが見えるの？」

「見てみなさい、楽しいよ」

「暗くて何も見えないよ」

「ほら、よく見て」

「みえないって……きゃあ、押さないで！」

「落ちてしまえ！」

「誰か、助けて！」

「お前は、生まれてきたら駄目だったんだ」

「そんな！助けて！穴から出して！」

「本当はこんなことはしたく無かったんだ」

「穴を埋めないで！やめて！」

「子猫が増えすぎて困ってたんだ……」

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