第79話 ゴミ屋敷

近所にゴミ屋敷があった





その家は、夫婦2人だけで住んでいるようだ





年は60過ぎだろうか





夫の方は朝出かけると、昼頃にゴミ袋を持って帰ってくる





妻はそのゴミ袋から使えそうなものを取り出すと、夫が残りをゴミ集積場へ持っていくようだ





あるとき、ゴミ袋が私の家に投げ込まれるようになった





それが、何日も続いたので、私は隠れて見張っていた





犯人は、ゴミ屋敷の主人だった





ゴミ集積場の途中に私の家があるため、捨てに行くのが面倒になって投げ入れたのだろう





私は、ゴミを投げ入れた瞬間、その男に注意した





すると、「妻に捨ててこいって言われまして・・」





私は、ゴミ袋を突き付けて返すと、「次やったら警察に言いますからね」と念を押した





しかし、ゴミ袋を捨てて行くのは止まらなかった





私がまた見張っている時には現れず、夜中や、私が仕事に行ったのを確認してから捨てているようだ





私は、とうとう我慢が出来なくなって警察に通報したが、厳重注意だけで終わったようだ





それから1年がたち、私は我慢の限界だった





夜中、その男が私の庭に入るのを見届けると、私は男をナイフで刺した





死体は穴に埋め、その上をゴミ袋で隠した





生ごみをそこに集め、死体が腐った臭いを誤魔化した





すると、ある時、ポストに手紙が届いた





「ゴミ掃除をしてくれてありがとう」





それは、ゴミ屋敷に今も住んでいる女性からだったのかもしれない

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