ザクッザクッ、ドサッ

「これでいい」

男は、廃屋の庭に穴を掘ると、その中に人形を捨てた

穴を埋め直すと、男は何食わぬ顔で去っていった

数年前、この家がまだ廃屋ではなかった時の話だ

仲睦まじい夫婦は、子供が出来にくい体質で、結婚してから１０年経つが子供がいなかった

治療のかいがあってか、子供を授かることができた

しかし、ある時、家に空き巣が入り込んだ

無人だと思っていた部屋を漁っていると、妻が音に気付いて見に来たらしい

慌てた空き巣は、妻を押し倒して逃げた

妻は、打ちどころが悪かったのか、流産してしまった

妻は、それを大層悲しんで、自殺してしまった

夫は、そんな家にいることはできないと、家を売却することにした

しかし、見学に来た人たちは、何か空気の動きを感じたり、誰も居ないのに物音がしたりと、不気味がって購入者はなかなか現れなかった

しばらくすると、赤ん坊の泣く声が聞こえる時があると噂されるようになった

夫は、供養の為に人形を買うと、妻の墓に供えた

しかし、次の日には人形が消えていたらしい

誰か持ち帰ったのか、それとも・・・

そう思っていたら、その人形は夫の新しい家の前に置かれていた

夫は、再び妻の墓へもっていったが、いつの間にか戻ってくるようになった

ある夜、夢の中で「なんで僕を捨てるの？」と見知らぬ子どもが声をかけてきた

私は、「お前など知らない」と言うと、悲しそうな顔をして、「じゃあ、お母さんのところに連れてって」と言った

目が覚めると、部屋の中に人形があった

夢の出来事だとは思いつつ、夫は自殺した妻の家の庭に人形を埋めることにした

しかし、その家を訪れた男性の家に、人形が現れるという噂が立ち、とうとうその家は廃屋になった

次は、誰の家に人形が現れるのでしょうか

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい