第44話 MMORPGで
俺たち4人は、仲が良かった
大学のサークルで知り合った俺たちは、仮に俺、コウ、サヨ、ウミと呼ぶ事にする
俺とウミが付き合って、続くようにコウとサヨが付き合っていた
俺たちの楽しみは、皆で一緒にMMORPGをすることだった
俺はシルダー、コウはバーサーカー、サヨはソーサラーでウミはヒーラーだった
俺がウミを守り、コウとサヨがスキルで攻撃しまくるプレイスタイルだ
バランスも良い俺たちのPTは、結構強かった
休日のたびに、皆で夜遅くまでプレイしたり、チャットで雑談したりして過ごした
そんな俺たちの仲は、ウミが交通事故で死ぬまで続いた
いつも通り、俺の家でゲームをするために向かっていたら、よそ見運転の車に轢かれたらしい
ウミの49日も終わり、なんだか気が抜けた日が続いた
その後、皆で遊ぶことが減り、MMORPGもヒーラーを野良で入れる気にもならず、自然消滅していった
忘れたころに、MMORPGから大型アップデートの通知が来た
アップデートで、ログインしていないフレンドから一人だけ、AIが代わりにキャラを操ってくれるらしい
俺は久しぶりにコウとサヨをゲームに誘った
俺はフレンドリストからウミを選ぶと、久しぶりにウミのヒーラーが現れた
4人でPTを組み、モンスターと戦う
ヒーラーのぎこちなさは、AIが悪いのか、最初の頃のウミのプレイを思い出した
俺たちは、ひたすら狩りを続けた
エリアモンスターとして、ソウルイーターという死神のようなモンスターが出た
今の俺たちにとっては大した敵ではないが、昔は強く感じたモンスターだ
あと少しでとどめと言うときに、ソウルイーターが魂抜きという即死スキルを使ってきた
3秒の詠唱の後、飛ばされる人魂に当たると必ず死ぬ
AIであるヒーラーは狙われているが、回避する様子はない
俺は、ヒーラーを庇う様にキャラクターを動かすと、ヒーラーの代わりに人魂に当たって死んだ
俺が死んですぐにソウルイーターは倒されたが、ヒーラーは蘇生呪文を唱える様子はない
やれやれと思って街に戻るボタンを押そうとしたとき、あり得ないことが起こった
ヒーラーがチャットで「守ってくれてありがとう」と打ったのだ
俺はなぜか涙が出て、現実では守ってあげられなくてごめんと呟いた
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