第42話 プログラムで

「はあ、今日も残業か」




俺はプログラマーを仕事としている




納品近くになってから、顧客から要望があったからだ




普段であれば、そのくらいの変更なんてすぐ終わるが、今回はどこを探してもエラーが見つからない




「飯でも食うか?」




俺はもう一人、同じように残業をしている相方に聞いた




「じゃあ、俺にはトンコツのカップ麺をくれ」




「わかった、絶対にパソコンにはこぼすなよ?」




俺はフラグを回収しないでほしいと思いながら、カップ麺2つにお湯を入れて給湯室を出た




「なあ、見てくれよ、ここのコード変じゃないか?」




俺は相方が指さしている部分を見る




「誰だ、こんなコード書いたの」




画面には、korosu=rand()と書いてあった




randはランダムの数字を生成する関数だが、korosuが何を指しているのか見当たらない




「これ、どこに組み込まれるやつだ?」




「さっきから探しているんだが、見当たらない。とりあえず消してみてコードを走らせるか」




相方は、その一行の頭と尻に"をつけてからコードを走らせる




""で囲むと、そこのコードは読み込まれない




「お、うまくいったな」




問題なくプログラムが動いたので、「やっと残業から解放される」と、首をゴキゴキと鳴らした




俺はせっかく作ったカップ麺を、伸びる前に食ってしまおうと給湯室へ向かう




「先に食うぞー」




俺は相方に声をかけると、カップ麺を食べた




俺が食べ終わってもまだ相方は来ない。ラーメンも伸びてしまっている




「どうかしたのか?」




俺は部屋に戻ると、部屋の電気が消されていた




「あれ?まさか先に帰った?」




そう思ったが、1つだけ画面が点いているのか、明るい




俺はその画面をのぞくと、画面には「ころす」と書いてあった




まさか、さっきのコードが結局働いたのか?と青ざめた




ついでに、これの修正が面倒で帰りやがったか?と一人徹夜で残業かと思い、再び青ざめた




俺はため息をついて、部屋の電気をつけ、先にトイレに行っておくかとトイレに入ると




相方が首をつっていた




そして、女子トイレの方のドアが開く音がした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る