第39話 廃屋で
4人で廃屋に行った時の話だ
肝試しに、男2人、女2人で車に乗り込み、山の中にある廃屋へ行くことにした
特に事件があったとか、昔墓地だったという話は聞いていない
そんなに広くなさそうな家で、木造2階建て、玄関のすりガラスが割れている
埃っぽいので土足で入っていく
玄関に入ってすぐ右手がリビングで、左手がキッチン、その奥が風呂場で、その右が仏間だった
俺たちは右から回ることにした
リビングは、テーブルと椅子があるだけで、目立つものは何もない
ふすまを開いて仏間をのぞくが、遺影も何も無かった
少し人の目にみえる柱のウロを見ながら、廊下へ出る
仏間と風呂場の間に、2階へ上がる階段があったので、登っていく
2階は2部屋あり、寝室と子供部屋のようだ
特段、血の跡があるとか、物取りにあったとかという感じではないので、夜逃げか、単なる移住したのだろう
寝室のカーテンが揺れたような気がしたが、懐中電灯で照らしたら、窓に隙間があったからおそらく風だろう
子供部屋は、ベッドに人形が何体か置いてあり、茶色く変色しているため、触らなかった
ベッドの下をのぞくと、変な絵が落ちていた、黒いクレヨンで人型を書いて、赤い人を追いかけている絵だ、小学生の絵か?
俺たちは、4人集まると、部屋で写真を撮った
その瞬間、本棚の本が崩れてびっくりしたが、他には何も起こらなかった
1階におりると、ピチョンピチョンと水滴の落ちる音が聞こえる
さっきは見なかった風呂場からのようだ
風呂場をのぞくと、シャワーから水滴が落ちていた
カビくさいため、さっさと閉めて、台所へ行く
戸のところに付いていたのだろうか、黒いすすのようなものが手についていた
俺は台所の蛇口をひねったが、水道が来ていないのか、水は出なかった
汚れたままよりマシだろうと、適当にそこにあった布巾で手をぬぐうと、リビングの奥に縁側があるのに気が付いた
「縁側に出れるみたいだがどうする?」
「せっかく来たし、何もないから行ってみるか」
「私は怖いから先に戻るね」
「ちっ、怖がりだな、3人で行くか」
「ちょっと、一人にしないでよ!」
なんだかんだ言いながらも、縁側に全員で向かった
「特に何もないな」
そういって天井や仏間につながっているであろう障子戸に懐中電灯をあてる
「ひっ」
女の子は、何を思ったのか、縁側の戸を開けると、一目散に車へ走っていった
俺たちも何が何だか分からないまま、車へ戻る
「どうしたんだ?」
「何か水の音がしたの」
「風呂場のやつか?」
「うん……。でも、水道止められてたんでしょ?」
俺たちは鳥肌が立って、慌てて帰ろうとした
「待って!一人足りない!」
彼女の指摘で、廃屋を照らす
すると、中から音がした
こわごわと縁側から家の中を照らすと、トイレらしき扉が開く
俺たちはびっくりして固まっていたが、トイレから出てきたのはもう一人の女の子だった
「ごめん、どうしても我慢できなくて。水が流れなくて悪戦苦闘してた」
「びっくりさせるなよ、帰るぞ」
俺たちは車に乗って帰った
「いつからトイレに行ってたんだよ」
「え?家に入ってすぐだけど、何かあった?」
俺たちは、誰と2階に上がっていたんだ?写真は現像せずに壊して捨てた
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