これは・・・ですが

斉藤一

とりあえず10話くらいまで読んでみてください

第1話 もしもーし

私は小学3年生の山内花林(やまうち かりん)と言います




私はいわゆる「見える人」です




事故の現場や自殺の名所などを見ると、そこで死んだ人が見えることがあります




今日は、塾で少し遅くなってしまいました




冬も近く、街灯が点きまじめてきました




市営住宅が並んでいる道を通っていると、電柱の影に不気味な人影が見えました




その人影は女性で、黒髪は長く、マフラーを巻き、赤色のコートを着ています。冬に近いとは言え、まだマフラーをする時期ではないので不思議に思いました。そして何より、首が90度曲がった状態で立っていました




私は、飛び降り自殺者かな?と嫌な気分で足早に横を通り過ぎようとしました




女性の前を通り過ぎたとき、後ろから




「もしもーし、もしもーし」




くぐもったような声でそう呼びかけられました




私は、返事をしてはまずいと思い、無視して家に向かいました




女性は、私が家に向かう間中、「もしもーし、もしもーし。もしもーし、もしもーし」とずっとつぶやいています




私は怖くなり、家まで走って帰りました




ちょうど玄関に母が見えたので、急いで家に入りました




「どうしたの?そんなに慌てて」




「なんでもないよ、久々に幽霊をみちゃって」




「それならいいけど、ところで後に居た女性はだれ?」




女性は幽霊ではなく、人間だったようです。もし、母が玄関に居なかったらどうなっていたのでしょうか・・




私は安心して2階の自分の部屋に入ると、かばんを置いて着替えることにしました。




「もしもーし」




窓から、そうつぶやく声が聞こえました


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