第30話 階段から

神社に向かう階段で、1段だけ必ず踏み外す階段があります




上りの時はあると思っていた段が無く、下りの時は1段飛ばしてしまう




きちんと段を見ながら行けばそういう事は無いのですが




そういううわさを聞いた私、最上佳苗(さいじょうかなえ)16歳と小松未可子(こまつみかこ)16歳の話です




彼女には、加奈子という双子の妹が居ましたが、事故で亡くなったそうです




2人は女子高で仲が良く、どこへ行くにも一緒でした




夏も近づいたという事で、上記の噂を確かめに、ある神社に行きました




最初は、1段ずつ確認しながら上りました




「特に変な事は無いね、未可子」


「そうね、下りも一緒かな?」




佳苗は、神社の方を向きました




この神社は、平日はほとんど誰も来ないような場所にあります




階段自体もほぼ自然の石を組み合わせた様な作りで、段ごとの高さがバラバラでした




私は、元々県外に住んでいたのもありますが、高校に入り、未可子と行動を共にするようになって、初めて訪れた場所でした




神社にはお守りが売っていたので、交通安全のお守りを買いました




金メッキがしてあり、靴の様な形のキーホルダーの様なお守りです




「お守りなんてお金の無駄じゃない?」


「でも、ここへはじめてきたし、珍しいものを集めるのが趣味だから」




実際は、趣味でもなんでもないですが、そういう事にしておけば余計な追求をされないかなと思いました




日が暮れてきたので、下りも試そうと1段ずつ確かめながら下りました




「何も起きないね」


「今度は上を見ながら上りましょう」




私たちは、神社に生えている木を見ながら上りました




「あっ、とと」


「大丈夫?」




私は、あると思っていた階段が無くて、前に倒れそうになりましたが、バランスを崩しただけで問題はありませんでした




「これが噂のやつかな?階段の幅が不ぞろいだから、しっかり見ないと普通は踏み外すね、これは」


「佳苗がいいなら、もう帰ろうよ」




私は、一番上に行きましょうと誘うと、彼女はいやいやながらも着いてきました




そして、下りも上を見ながら下りることにしました




10段くらい降りた時の事です、彼女は、足を踏み外してしまい、数段下まで転がり落ちてしまいました




ふと後ろを見ると、突き落としたような黒い影が見えた気がしましたが、それよりも落ちた彼女が心配でかけよりました




幸い、普通に起き上がってきたので、擦りむいただけで骨折などは無いようです




「未可子大丈夫?」


「大丈夫、帰って絆創膏を貼っておくよ」




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