第7話
二度目の惨劇から一ヵ月後、夜に雨宮が家の近くにある自動販売機で飲み物を買おうとしたときのことだ。
自動販売機の手前にそれはいた。
完全に逆光となっていたのではっきりとはわからなかったが、どう見てもそれは小さな子供だった。
シルエットから判断して、四歳くらいだろうか。
――こんな時間に子供が一人?
もう午後十時を過ぎている。
そう思っているとその子供が動き、雨宮の前に来た。
やはり逆光ではあったが近くに来たのでわかった。
それは幼い少女だった。
やけに古めかしい真っ黒い浴衣のようなものを着ていた。
頭には動物の毛皮に見える帽子をかぶっている。
そして雨宮を見上げた。
雨宮が声をかけようとすると、突然雨宮の横をすり抜けていった。
幼女とは思えないほどの速さで。
そしてそのまま見えなくなった。
――なんだ、今の子供は?
気にはなったが、どこに行ったのかもわからないので、飲み物を買って家に帰った。
そして入浴の準備をしているときに、音がした。
それは雨宮には小さく聞こえたが、聞き覚えのある音だった。
一ヶ月前にも二ヶ月前にも聞いた音だ。
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