第3話

「さらに詳しく検死をしてみます」


「わかった」


「他に聞きたいことはありますか」


「今はない」


「わかりました。それでは」


「それじゃな」


検死官の話は最初に権藤が想像していたとおりのものだった。


つまり現時点においては、どうやって人一人をブロック塀にとてつもない力でたたきつけたのかが、まるでわからないということだ。



寝ていると、なにかが聞こえてきた。


夢うつつの中で聞いていたが、やがてそれが玄関のチャイムだということに気づいた。


雨宮はベッドから身体を起こし、寝間着のまま玄関出でた。


そこには目つきの悪い男が二人立っていた。


一人は五十代だろうか。


もう一人は三十前後に見えた。


五十代のほうが何かを取り出して雨宮に見せた。


警察手帳だった。


本物を直に見るのは初めてだ。


それに雨宮はこの男に見覚えがあった。


ゆうべ殺人現場に少し遅れてやってきた男だ。


刑事なのだろう。

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