ルナティック

ツヨシ

第1話

突然に音が響いた。


かなり大きなゴンという音。


何の音かはわからない。


雨宮はその時、家でくつろいでいた。


郊外の夜の住宅地。


近所の人くらいしか来ないこの地区、この時間に通行人などほとんどいない。


音は雨宮の家の前、住宅街の細い道を挟んだ向こう側から聞こえてきたような気がした。


雨宮はカーテンを少し開けた。


そして見た。


薄暗い街灯の中、向かいのブロック塀に地面と平行に張り付いている人間の姿を。



雨宮が通報している間にも近所の人が何人も外に出てきて、大きな騒ぎとなった。


なにせブロック塀に人が埋まっているのだから。


頭は完全につぶれ、同時にブロック塀にめり込んでいた。


見た人はある者は悲鳴をあげ、ある者は呻き声を出した。


どう見ても完全に死んでいる。


やがて警察と救急車がやって来て、警官によって野次馬は排除された。


雨宮は外に出ることなく窓からそれらを眺めていた。


救急車が死体を運び去り、鑑識らしき人が現場を調べていた。


雨宮はとんでもないことになったと思いながら、明日は仕事が休みということもあって、警察がブロック塀の前に立ち入り禁止のテープを張ってその場を立ち去るまで見ていた。



権藤は署に帰るとすぐさま検死官のところに向かった。

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