繋がらない電話
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
翌日の昼休み、俺は蒼を探しに3組に来ていた。
ガラガラガラッ....
「なぁ、おネ......っ蒼いるか?」
「み、み、湊さま!!」
「さま? ......まぁいいや。んで、蒼はいるか?」
「ちょ、ちょっと待っててください!!
っって蒼さま!!」
「何かお呼びかしら? あらっ、みなちゃんじゃな~い! なぁに~、蒼に会いに来てくれたの~!
うれし~♡」
「来ること分かってんのに気持ち悪ぃこと言うな!」
「あ、あの~....」
「ん、あぁ、ありがとな」
「は、はいっ!!!」
「珍しいこともあるもんね~、みなちゃんがお礼を言うなんてっ!」
「あぁ? 俺だって礼ぐらい言う時もある!
.....で?今日も行くんだろ?」
「あぁ、だから今ちょうど俺も湊を呼びに行こうとしてたところだ」
「柚月はどうする?」
「柚月は.....連れていかない。昨日のαの様子からして、きな臭いことが起こる気がするんだ。そんなところに女の子は連れていけないだろ?」
「まぁ、そうだけどよ。でも、セミメディに男も女も関係ないぜ?」
「......あぁ、分かってる。でも、今回は連れていかない。これはお前と俺のミッションだ」
「まぁ、お前がそう言うなら、いいけどよ。後で、ちゃんと柚月に謝っておけよ。後でバレると色々面倒だぞ?あのタイプは......」
「そんなこと湊に言われなくても分かってる、柚月は俺の部下だ」
「へいへい、部下ね~。
じゃー、行きますか! よろしく頼むぜ、相棒!」
「......あぁ」
この時の俺たちはあんな予想できないことが起きるなんて、知る由もなく体育館へ向かった。
その頃、体育館では.....
コンコン
「すみません、ダンス部の者ですがワックスを貸していただけませんか?」
「なんだ、練習か~? 終わったらちゃんと拭き掃除しろよー。はい、これ」
「ありがとうございます」
体育館へ向かっている途中、俺は昨日の報告会後の蒼の様子を思い出していた。
さっき俺が話し終わった時もそうだったが、蒼は昨日からたまに虚ろな顔をする。はっきり言って、これからどう転ぶか分からない事を調べに行くのに、余計な事は考えたくない。だが、バディを組んでる以上、相棒の調子が悪いのは気になって仕方ない。
「......い.....蒼!! 着いたぞ!」
「......っあぁ、ごめん。ボーっとしてた」
「おい、お前そんなんで大丈夫かよ?
さっきのきな臭いって言ってたやつが気になってんのか?」
「......あぁ、ちょっとな」
「なぁ、俺は柔道黒帯、お前は剣道三段。
特に心配する必要はないんじゃねーか? それともまだ他に何か気になってることでもあるのかよ?」
「......あぁ、そうだな、何も心配はいらない......。
αが何をしようとしてるのか、気になっちゃっただけよ♡」
「......あそう、分かった。でも、なんかあったらちゃんと呼べよ?」
「み、みなちゃんが蒼に優しいなんてっ!!
明日は雪かしら??」
前言撤回だ......こんなおネェ心配したくもない。
「ちょっとぉ~、無視しないでよ~、みなちゃん!」
「......俺は下駄箱確認してから中へ入る。
お前は先に昨日αがいた場所に向かってくれ」
「無視からのお仕事モードとは......さすがね。
了解した、先に向かってる。何かあれば連絡する」
「おぅ!」
こうして俺たちは二手に分かれ、αと早弁くんたちの動向を探り始めた。
それにしても、あのおネェ何考えてんだ? やっぱ、歯切れが悪いって言うか、なんて言うか。まぁこれも聞き出すのは解決してからだな。
えーと、αの靴、αの靴......おっ、あったあった!
こんな早く来てなにしようってんだ? ん?ちっちぇーなー、1年の時ってこんな小人サイズの靴履いてたんだっけか?
あと......早弁くんたちらしき靴は、まださすがにねぇな。だとしても、αの靴があるってことはもう中にいるのか? とりあえず、蒼に連絡するか...
ヴーヴーヴーヴー
「湊か?」
「あぁ、俺だ。αの靴があった」
「そうか。ってことは、もう中にいるな......
今、昨日αがいた辺りを探しているが、まだ見つからない」
「もし、早弁くんたちに何かしようとしてるなら、2階の観客席じゃなくて、1階のどこかに隠れている可能性が高いんじゃねぇか?」
「そうだな.....。って言っても1階は隠れやすそうなところなんてたくさんある。しらみつぶしに、全部探してみるか?」
「いや、その必要はないんじゃねーか?
αの靴は23 cmだった。だから、そんなに身長は高くねぇ、むしろかなり低い方だ」
「確かに。この前報告しに来た時も、周りが上級生ばっかだったから、あまり気にならなかったけど、よく思い出してみれば、わりと小さかったな」
「あぁ。つまり、隠れるとしたら早弁くんたちのような大柄な生徒が入れない場所。」
「なるほど......。パイプ椅子置き場なんてどうだ?
あそこは高さもないし、隠れるにはうってつけだ。
しかも生徒会の業務に関わったことがある1年ならあの場所を知ってるはずだ」
「そこかもな.....。パイプ椅子置き場なら、蒼より俺の方が近い、俺が行く」
「あぁ、頼んだ。俺は、一度1階に降りて早弁くんたちが来るのを待つ。もう先に何か細工がしてあるかもしれない、注意しろよ、湊」
「おぅ、任せとけ」
プツッ
タンッタンッタンッタンッタン
「さぁて、1階に着いたことだし、
この辺で早弁くんたちを待ちましょうか~。おっと、なんか滑るわ~ココ、水かしら.....? っつ! ワックス?................マズい......湊っ!」
ガンッ
「あれっ? 開かねぇ。なんでだ? 気付かれねぇように外から回ろうと思ってたけど、しゃーない。
館内から回るか......」
トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル
「あー、わりぃ今出れねぇ。かけ直すかピーって鳴ったらメッセージ残してくれ」
ピー
「......っさすが、湊ね。仕事になるとスマホ見ないとか、ボスに似過ぎなのよ!
これは、観客席から確認するしかないわね.....。
お願いだから間に合ってちょうだい............もう二度とあんな思いはしたくないんだ」
To be continue
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