第163話 3日目?-3

ニ「それで、ここへは何をしに来られたのですか?」


レ「俺達はステータス上げと、俺としては八岐大蛇のコアを手に入れたいなと。」




ニーナは俺達の周りをちょこまかと飛行して回っている。小学生っぽい見た目通りに落ち着きがない。




ニ「コアを、ですか? 経験値にするならドラゴニュートの方が数も多いですし、楽に倒せますよ?」


レ「ああ、ニーナは知らないか。俺はコアを利用するスキルを持っているんだ。」




細かいところまで説明すると話が長くなるので、かいつまんで説明する。そして、この星でも有効なのは白竜と八岐大蛇のスキルだろう。シンジュのコアは手に入らないしな。ジャイアントトレントのほうはもう持っているし。ウロボロスはどうなんだろうな? 随分と流れが変わってきているから、すでに修正不可能になっているとかか? とりあえずサクッと八岐大蛇の所へ向かうか。丁度そっちへ向かう方が近いし。




ニ「案内しますですよ~。」




ニーナが先頭に立ち、というか、浮き? 八岐大蛇の所へ向かう。場所自体は知っているが、本人がやりたいというのならやらせておくか。ケルベロちゃんの転移でもいいだろうが、そこまで遠い場所でも無いし。それに、道中でもいろいろと話をして情報を集める必要がある。本来の未来の流れとどうずれてきているのかが気になる。ニーナの復活にしろ、元の時間軸じゃどうなってたんだろうな?




ニ「着きましたのですよ~。」




以前に見たのと全く一緒の洞窟だ。まあ、そこが変わるような事は無いか。それじゃあ、以前の通りと行こうか。




レ「ケルベロちゃん、酒の樽を出してくれ。」


ケ「何故ですかワン? 戦う前に酔っぱらうのは推奨されませんワン。気付け程度であれば、少しぐらいならよろしいですワン。」




おおう、以前の通りと言うのは俺が勝手に思っていただけで、ケルベロちゃんに作戦は伝えていなかった。弥生も「しまった」と言う顔をしている。情報を集めるのに夢中で、こちらから情報を与えるのをすっかり忘れていた。




レ「それは……。」


ニ「おーい、オロチのじじい、さっさと起きろー。」




俺が作戦をケルベロちゃんに伝える前に、ニーナが大声で叫び、八岐大蛇を呼ぶ。




八「誰じゃ、ワシをじじいと馬鹿にする無礼者は! そこで待っておれ、今すぐ殺してやるわ!」




八岐大蛇はすでにオーラを纏っている。大竜の力を使っているようで、呼ばれてから一瞬で洞窟の入口に現れた。




ニ「で、どのような勝算があるのですか?」


レ「バカ野郎! 勝算は今消えたわ!」




ニコニコとオロチを呼び出したニーナに怒鳴る。こうなったら、自力でやるか?




八「生娘が五人と、オスが一人か? 殺すにはもったいない美女や美少女ばかりじゃな、それなら腹いせはそこのオスで晴らすとするか。」


レ「ニーナも生娘なのか……。」


ニ「そうなのですよ。なかなか釣り合うオスが居なくてですね。」


ヤ「余裕をかましている暇はありませんよ! 来ます!」




八岐大蛇は尻尾を振りかぶり、高速で垂直に振ってくる。見えてはいるが、素早さが違いすぎるため回避は間に合わない。クリティカルを受けないように腕でガードするのが精いっぱいだった。零に6400ダメージ。ゴロゴロと吹き飛ばされている間に、弥生が八岐大蛇の今のステータスを伝えてくる。




八岐大蛇ドラゴン:HP90000、MP12200、攻撃力10000、防御力7000、素早さ8000、魔力7000、スキル:大竜の力、HP自動回復(大)、MP自動回復(大)、属性ブレス




八「さて、憂さ晴らしも終わったし、どの娘から頂こうかのぉ。」


ア「それじゃあ、我がパパッと退治するのじゃ。」


レ「まだ終わってないぞ! みんな手を出すな、俺一人でやる!」


たまにはいいところを見せようと啖呵を切る。勝てるイメージは湧かないが、やるだけやってやる!


八「人間にしては頑丈じゃな。せっかく拾った命、さっさと逃げればよいものを。」




八岐大蛇は再び尻尾を振り上げる。しかし、同じ攻撃をそう何度も食らう訳が無いだろう!




レ「復元、スペクター!」




俺はスペクターを尻尾と俺の間に復元する。八岐大蛇は「それがどうした」というように、そのまま尻尾を振る。物理無効、スペクターに0ダメージ。無効化なので、そのままスペクターごと吹き飛ばされるという事もなく、八岐大蛇の尻尾はスペクターに届く寸前で止まっている。




八「なんじゃこやつは! くそっ、このっ!」




八岐大蛇は意地になって尻尾でスペクターを滅多打ちにしている。しかし、全て無効化され0ダメージだ。




八「しゃらくさい、これでも食らえ! ブレス!」




八岐大蛇が息を深く吸い込むのを見て、俺は慌ててスペクターから離れた。そこへ、八岐大蛇の首の一つから、赤いブレスが吐き出され、スペクターに直撃する。スペクターに6600ダメージ。スペクターはコアになった。




レ「ジャイアントトレント、復元!」




そして、俺はその隙に俺が持っている中でも最強のはずのジャイアントトレントを100%復元する。今の俺のMPになったからこそ可能な復元だ。




八「なんじゃ? ただの木では無いか。見たことも無いほどでかいがな。」




八岐大蛇よりもよっぽどでかい木に、八岐大蛇は上を見上げている。そして、八岐大蛇と同じくらい太い枝が八岐大蛇に叩きつけられる。八岐大蛇に0ダメージ。




八「びっくりしたが、今のワシを傷つけるほどではないな。ブレス!」




八岐大蛇から、先ほどスペクターを倒したのと同じ赤いブレスが吐き出され、幹にあたる。ジャイアントトレントに7000ダメージ。そして、ブレスを脅威と見たジャイアントトレントが実をつけ始める。




八「そーれ、もう一丁、ブレス!」




動きを止めたジャイアントトレントに、再びブレスが当たる。ジャイアントトレントに7000ダメージ。




八「なかなか頑丈な様じゃが、これならどうじゃ?」




八岐大蛇の9つの首全部が深く息を吸い込む。実が出来るまであと少し、時間を稼ぐ必要があるな。




レ「復元、ゴブリンいっぱい!」




俺はアイテムボックスに手を入れて、つかめるだけゴブリンのコアを掴み、八岐大蛇に投げつける。20体くらいのゴブリンが復活し、ブレスを阻む。ゴブリンに6999ダメージ×9。9体のゴブリンがあっさりとコアに戻る。まあ、それは想定内だ。そして、生き残ったゴブリンは、0ダメージではあるが八岐大蛇に攻撃する。




八「鬱陶しいわ!」




八岐大蛇は、9本の首それぞれでゴブリンに噛みつく。ゴブリンに9990ダメージ×9。9体のゴブリンがコアになる。残り2体のゴブリンも、尻尾の攻撃を受けて消滅する。ゴブリンに9990ダメージ×2。しかし、時間は稼げたようで、ジャイアントトレントは枯れてコアに戻り、一つの人間大の実が落下してくる。そして、中から全身が茶色で、上半身は半裸の美女、下半身が根っこの様なモンスター、シンジュが産まれた。




シ「お前か、私に攻撃をしていた不届き者は! くたびれたドラゴン風情が!」


八「なんじゃと! 見た目だけ女の草風情が!」




ドラゴンは尻尾でシンジュを叩き潰す。物理無効、シンジュに0ダメージ。




八「こやつもか! くそっ、ブレス!」




物理攻撃が効かないと分かると否や、すぐにブレスで攻撃する。シンジュに7000ダメージ。




シ「やりやがったな、足の生えたヘビが!」




シンジュは根っこの様な足で素早く八岐大蛇に近づくと、指のように見えた枝が伸びて八岐大蛇に刺す。八岐大蛇に0ダメージ。




八「効かぬわ! これだから雑草は! ブレス!」




八岐大蛇はさらにブレスで追い打ちをかける。シンジュに7000ダメージ。しかし、シンジュもタダでやられる訳も無く、HP自動回復(大)の効果でHPを全快する。ただ、八岐大蛇からは回復は分からないので、八岐大蛇はご機嫌でブレスをちょくちょく当てるだけだ。




八「なかなかHPは多い様じゃが、これで止めとするか。」




八岐大蛇から回避のしようがない9本のブレスがシンジュに直撃する。シンジュに7000ダメージ×9。




シ「それが止めだと? 笑わせるね!」


八「なんじゃと!?」




HPだけは異常に多いうえ、自己回復するシンジュに八岐大蛇は苦戦しているようだ。といっても、シンジュからは八岐大蛇にダメージを与えられないが。




ヤ「あっ、もうすぐですよ!」




弥生から「もうすぐ」と言われ安心した。さすがに、大竜の力の持続に加えてあれだけブレスを連発すれば、MP自動回復(大)があってもMPが切れるというものだ。八岐大蛇のオーラが切れる。そこをシンジュが攻撃する。八岐大蛇に3300ダメージ。うん、絶対に倒せないわこれ。それに、早くしないとまた回復したMPで大竜の力を使われてしまう。




レ「……ごめん、弥生、やっぱり手を貸して。」


ヤ「仕方ないですね。投擲武器操作! 投擲武器複製!」




弥生の放ったクナイが、9つの首全ての眉間に正確に刺さる。クリティカル発生、八岐大蛇に26620ダメージ×9。結構なオーバーキル気味ではあるが、八岐大蛇は消滅し、コアになった。

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