第144話 地球-8

レ「大した事は分からなかったな。」

ヤ「そうですね。見かけたモンスターは粗方倒したとは思いますが、原因は……本人に聞きます?」

レ「本人って……ああ、そうか。」

コ「イブリアルに聞くです? 蘇生しますです。」

レ「違う違う、もっといい方法があるんだ。」


俺達は一度アパートに戻る。騒ぎがあったせいか人通りは無く、アパートの住人も逃げているようで好都合だ。騒がれても通報される心配はないな。通報したとしても今の混乱状態ですぐに警察が駆けつけてくるとも思えないが。とりあえず、俺はイブリアルのコアを弥生から受け取ると、復元した。


イ「ここは……? おのれ人間どもめ、いくら蘇生してくれたとはいえ、簡単に言う事を聞くと思うな! ふふふっ、そうかそうか、私が転移できることも知らんのだな? 転移! ……あれ?」

レ「いや、お前のスキルもステータスも知ってるし、それに蘇生したわけじゃない。」

イ「ど、どういう事だ? 蘇生じゃないなら何をした!」

レ「俺のスキルで仮の肉体を与えただけだ。」

イ「仮の肉体だと……? 体に違和感が無いが……私の裸を想像していたのか? 変態め!」

レ「それは誤解だぞ?! コアをもとにして復元しただけだから俺が想像して作ったわけじゃない!」

イ「黙れ! この変態!」

レ「……黙って俺の質問にだけ答えろ。」

イ「誰が……はいっわかりました。んんっ!」


イブリアルは何か言おうとしたみたいだが、復元された以上俺の言う事に逆らえないはずだ。それに、念のためにHP以外のステータスを1にしてあるので魔法を使う事も暴力に訴えることも、走って逃げる事すら出来ない。ちなみに、素早さ1でもカタツムリよりは早いみたいだ。


レ「まず、誰に言われて何をしていた?」

イ「言うわけが……私は、ヴェリーヌ様の命令で地球を侵略しに来ました。私は召喚が使えないので、簡易召喚のアイテムを使用しました。転移では違う次元から一緒に連れてくることは出来なかったので。んんっ!」


イブリアルは自分の知っていることをベラベラと話す。最後に文句でも言おうとしたのか、口を開くことはできなかったようだ。


レ「それで、これからの予定は? 他に何をしようとしていた?」

イ「作戦が失敗したので、一度転移して再度命令に従って行動するつもりです。んーっ!」

レ「じゃあ、お前を帰らせるわけには行かないな。他に話しておくことはあるか?」

イ「……クソ野郎!」

ヤ「無いようですね。それじゃあ、空間断裂!」


イラッとした弥生が空間魔法を唱えると、イブリアルの居る空間がずれる。イブリアルに899ダメージ。イブリアルはコアになった。


レ「珍しく魔法での攻撃だな?」

ヤ「私の魔力じゃほとんどのモンスターに大したダメージを与えられませんからね。こういう時にでも使ってみようかと。」

レ「そうか。ともかく、これ以上の情報が無いなら今のところすぐに何かが起こるという事は無さそうだな。アルスリアの方は大丈夫かな?」

コ「連絡を取ってみるです! ……アルスリア様、聞こえますか?」


コレは通信機を取り出してアルスリアに連絡を取る。すぐにつながったようだな。音声は俺達にも聞こえるようにスピーカーモードにしたようだ。


ア「コレっすか。こっちは丁度戦闘が終わって連絡を取るつもりだったからちょうどよかったッス。今どこッスか?」

コ「今はアパートに居るです。座標は分かりますです?」

ア「当り前じゃないッスか。すぐに行くッス。」


コレが通信機を切るのと、アルスリアが転移してくるのはほとんど同時だった。何故居場所が分かるか聞いたらだめかな?


ア「大丈夫だったみたいッスね。」

レ「一応無事だが、神獣がでたぞ。」

ア「神獣ッスか。少なくとも女神レベルの神力は感じなかったッスから心配はしてなかったッス。」

レ「そんなもの来てたら死ぬわ!」

ア「そうッスよね。じゃあ、これが何か分かるッスか?」


アルスリアはそう言ってアイテムボックスからコアを取り出した。アルスリアは見たことが無かったか?


ヤ「それはコアですね。モンスターを倒すと出るやつです。」

ア「モンスターッスか。あーしと同等の強さを持ってて、見た目が悪魔っぽかったッス。」

ヤ「鑑定は出来ないみたいですね。復元してみますか?」


弥生の一言に応じて俺はアルスリアからコアを受け取り、復元してみる。


レ「……駄目みたいだ。俺よりはるかに強い奴だから復元を受け入れてくれない限り無理だな。」

ヤ「それは残念ですね。それじゃあ、これからどうします?」

ア「あーしが思うに、はじまるのダンジョンへ行ったらどうッスか?」

レ「それはなんかややこしいことになりそうだが……。」

ヤ「たしか、今頃はスキルを貰ったくらいの時間ですかね?」

レ「あんまり覚えてないけど、初日はそんな感じだったかな。」

ア「あーしが一緒なら、今ならいろいろと聞くことができるかもしれないッスよ?」

レ「それなら、行ってみる価値はあるのか?」

ヤ「他にやることも無いですし、お任せします。」

コ「あたしはどうしますです?」

ア「コレは足手まといなんで留守番ッス。何かあったら連絡するッス。」

コ「はっきり言いすぎです!? まあ、怖い目に遭いそうなので留守番しますです。」

ア「念のため、雑魚モンスターがまだ残っていたら退治しておくッスよ?」

コ「分かりましたです。それじゃあ、いってらっしゃいませです。」


コレは特段着いて来る理由が無いので居残りだ。俺達は再びはじまるのダンジョンへ向かう事になった。

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