第110話 怪しい洞窟発見
レ「随分あっさりとジャイアントトレントを倒したな。」
ヤ「動かない敵には攻撃あて放題ですし、最初の攻撃でダメージが入ることは分かっていましたしね!」
レ「で、ケルベロちゃん。これで9階クリアか?」
ケ「いいや、そいつはクリア目標じゃないただのモンスターだ。」
レ「倒し損かよ!?」
ケ「損ってことは無いだろ? 実際にコアは手に入っているわけだし。単に無駄に強敵と戦っただけだな。」
ケルベロちゃんはやれやれと首を振った。ジャイアントトレントがクリア目標じゃないとすれば、どんだけ強い敵が出てくるんだよ……。そういえば、ここはドラゴンの星って言ってたな。だったら目標はドラゴンに決まってるじゃん、盲点だったな。
レ「弥生、ドラゴンを探しに行くぞ!」
ヤ「急にどうしたんですか? ドラゴンならさっき倒したじゃないですか。」
レ「違う! おそらく、クリア目標がドラゴンだ。」
俺はチラリとケルベロちゃんを見るが、俺の発言によって表情を変えるようなマヌケな事はしてなかった。ただ、俺は気づいた。ケルベロちゃんの尻尾が微妙にフリフリと揺れたことに! 指摘すると藪蛇になりそうだから、自己満足で終えておこう。
ジャイアントトレントが消えて何もない平地になったしまったので、俺はジャイアントトレントを復元する。モンスターとしてじゃなくて、置物としてな!
レ「よし、木の上から探そう。よし、弥生、登るぞ!」
ヤ「えっ? アヌビスちゃんや融合して飛行したらダメなんですか?」
……駄目じゃない、駄目じゃないんだけど……それを先に言ってくれ。ジャイアントトレントを復元しただけMPを損した。まあ、そのうち回復するんだけど。
レ「きっ、気分的に登りたい気分なんだよ。天気もいいし、高いところからのんびりと眺めたいんだ!」
俺は頑張って誤魔化す。しかし、その誤魔化しに気づいているようで、「仕方ないですね。」と弥生も登ってくれることになった。
しかし、アヌビスは普通に飛行するし、イルナはまだ起きないからケルベロちゃんに預けていく。
でこぼこの皮の隙間に足をかけて登っていく。仮に落ちたとしても俺の防御力ならきっと0ダメージだと信じて登る。下を向いちゃだめだ、すでに50mくらい登っている気がするからな。
ヤ「源さん、まだですか?」
随分上の方から弥生の声がする。くっ、忍者の格好をしているだけあって登るのが早いな! アヌビスもすでに頂上についているようだ。しかし、ここで飛行を使ってしまっては負けた気がする。よし、高速登り!
レ「あっ……。」
俺の右手は空を切った。1秒ほどの浮遊感を感じた後、俺は仕方なくガーゴイルと融合し、飛行士た。
ア「やっと来たのじゃ。」
ヤ「結局飛行を使ったんですね。」
レ「……うん。」
俺のテンションだだ下がりで頂上に一番近い木の枝で足を抱えて座る。
ケ「そんなことをしている暇は無いだろ?」
ケルベロちゃんはあっさりとイルナごと転移してきた。くっ、過程を大事にしないやつらめ!
俺は仕方なくあたりを見渡す。すると、ドラゴニュートの洞窟とは比べ物にならないほどの洞窟が湖の側に見えた。すると、隣に弥生も来る。
ヤ「あれ、目立ちますね。とりあえず行ってみますか?」
レ「そうだな。まさか、単なるデカいドラゴニュートの住処ってわけじゃないだろうし。行ってみるか。」
アヌビスはそのまま飛行で下り、弥生は風呂敷のようなもので減速しながら下りた。俺はどうするか迷った結果、スペクターと融合して飛び降りた。物理無効、零に0ダメージ。ダメージは無いが、多少地面にめり込んでしまった。結果的に弥生より早く地面についてしまった。
ヤ「そこどいてください!」
お約束通り、弥生が俺の上に着陸した。物理無効、零に0ダメージ。あれ? 物理無効使ってなかったら俺、弥生に殺されていたんじゃ……。俺は不安がぬぐえなかったので、しばらくスペクターと融合していたが、何故か腹痛が起きたので融合を解除した。
ジャイアントトレントを再び弥生の攻撃によってコアにすると、上から見えた洞窟に向かうことにした。イルナは時間がかかりそうだと言う事で、ケルベロちゃんが治した。やっぱりなんだかんだでケルベロちゃんはイルナに優しいよな……。
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