第75話 ダンジョン攻略13日目

いつも通り、時計のアラームを聞きつつ起き上がる。




ア「おはようなのじゃ。」




ふとみたアヌビスは、最初の頃と違って大人びて見える。




レ「ああ、おはよう。」




それを聞いたワルキューレは闇の壁を解除する。大部屋はやはり俺が最後の様で、誰も居なかった。




ア「早くホットケーキを頼むのじゃ!」




大きくなっても子供の様なアヌビスの為に、ホットケーキを注文する。俺はサンドイッチと牛乳でいいか。




ヤ「おはようございます、源さん!」


イ「・・・おはようございます。」


ワ「おはよう、もう食べているのか?」


レ「ああ、おはよう、みんな。アヌビスが腹減ったっていうからちょっと先に頂いている。」




それを聞いて弥生もお腹が空いたのか、イルナと一緒に和食をケルベロちゃんに注文した。ワルキューレはどこから持ってきたのか、リンゴを取り出すと、齧りだした。・・・ワルキューレは本気でダイエット中じゃないか?




レ「今日は、8階に行ってみよう。」


ヤ「あと少しでクリアですね!」


ア「クリアしたらどうなるのじゃ?」




そういえば、どうなるんだろうな?まともに聞いた事が無いな。




レ「後でメィルに聞いてみるか?」


ア「どちらでもいいのじゃ。」




アヌビスはそんなに興味が無かった様だ。皆の食事が終わり、片づけをしてダンジョンへ向かう。




レ「メィル、見てるか?」




俺が空に向かって話しかけると、魔法陣が現れてメィルが出てきた。




メ「どうしたの?お兄ちゃん。」




呼ばれた理由が分からないのか、こてりと首を傾げている。




レ「もうダンジョンも8階だろ?クリアしたらどうなるのかと思って。」


メ「10階をクリアしたら、私が女神になるんだよ!」




メィルはフンスッと鼻息を荒くする。




レ「そうじゃなくて、俺達がどうなるのかを聞きたいんだが。」


メ「どうって?」


レ「地球に帰れるのか?」




俺がそう聞くと、メィルはクリア後をイメージしているようだ。すると、メィルは指を1本立てて話始める。




メ「一つは、このまま地球へ帰る。一つは、別世界で生きる。一つは、ここに残る。」


レ「その3つだと、一番最初のこのまま地球に帰るっていう事になるが。」


メ「このまま戻って、地球になじめると思う?」




メィルが神妙な顔でそう問いかけてきた。




レ「どういう意味だ?」


メ「気づいてる? お兄ちゃん達、もう最初の頃の何百倍も強いんだよ? もしかしたら、私なんかよりよっぽど。」




そう言われて気づく。俺達は最初の頃、メィルですら強いと思っていたが、今はもう俺達の方が強い。メィルが本気で殴ってもダメージは0だろう。




ヤ「オリンピック選手も真っ青な身体能力ですよね、私達。」




弥生の素早さなら、それこそ目にも止まらない動きが可能だろう。ハンマー投げとかしたら、投擲武器操作で曲芸までできそうだ。




レ「じゃあ、他の選択肢は?」


メ「別世界で生きるは、地球と似た様な星で、新たに生命を作り出したりして、それこそアダムとイヴの様に最初の人類になるんだよ。」




俺達しか居ないのなら、確かに誰の迷惑にもならず過ごせるだろう。だが、




レ「それは暇そうだな。」




娯楽が何もない中で生きれるだろうか?




メ「それで、最後の選択肢、ここで暮らす?」




ここならラヴィ様の管轄なので、ある程度の融通が利くし、ケルベロちゃんもいるので娯楽にも困らないな。エロい物は取り寄せてくれないけど。




ヤ「・・・今は結論を出せないので、クリアしたら考えませんか?」




俺もそうだが、弥生もそんなに頭を使うのが得意ではない。それこそ、ラヴィ様やケルベロちゃんに意見を聞きながら決めたいと思う。




ワ「もう一つあるぞ、女神予備軍になる事だ。ラヴィ様に伝えれば、すぐにでもしてくれるだろう!」




女神様の下働きか・・・。それはそれで面白そうだけど、厳しそうだな。




レ「考えておくよ。」


ワ「ならば、ケルベロ様にも・・・。」


レ「考えておくって言ったよね!?ところで、イルナはどうするんだ?」


イ「・・・今の選択肢の中なら、女神予備軍になる。そして、神になる!」




イルナの変なスイッチが入ってしまった。普段の寡黙さと違い、やりたいことをずらずらと話し始めてしまった。そうしているうちに、ダンジョンに着いた。




レ「そう言えば、どうやって8階に行くんだ?」




いつもはクリアした階のエレベーターの横から次の階に行くが、7階はカジノのはずだ。




メ「8階はこっちのエレベーターだよ!」




いつも使っているエレベーターは7階までで、8階へ行くには別のエレベーターらしい。




レ「なんでエレベーターが違うんだ?」


メ「うーん、危険だから?」




メィルも良く分かっていないみたいだが、思いつくのが危険だからって言うのは気になる。




ヤ「とりあえず、行ってみましょう!」




弥生は怖い物見たさなのか、行く気満々だ。俺は危険と聞いただけで遠慮したい。




メィルが「とぉー!」と8階のボタンを押すと、8階に着いたらしい。8階に着いたら、メィルは「がんばってね!」と見送りだけした。


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