第76話 サラマンダー、ミノタウロス
レ「ここ、どこだ?」
本当にいつもの場所か?と思うほど、広大なダンジョンだった。今までが学校の中を歩く程度だとしたら、今は東京ドームの様な広さの部屋に居る。
今までの人工的な作りとは違って、岩や森があり、異世界に来たと言われても納得するような感じだ。飛行タイプに配慮された6階と同様、8階のタイプに配慮された作りになっているのだろう。
レ「・・・ここのコンセプトは?」
ヤ「えっと、動物になってますけど。」
動く奴はほぼ動物だよな・・・。そう思っていると、岩の陰から、火を纏ったトカゲが出てきた。弥生はサッと鑑定をかける。
サラマンダー(動物):HP8000、MP3000、攻撃力600、防御力400、素早さ400、魔力800、スキル:火魔法(8)、MP自動回復(中)
サラマンダーは、威嚇の為か、近くに生えている木に青い炎を吐いた。すると、一瞬で木が炭になった。物理現象としては炎なんだけど、これでもアヌビスにはダメージ0なんだよな。魔法の不思議さを感じていると、サラマンダーは俺がぼーっとして隙があるように見えたのだろう、火の玉を吐いて飛ばしてきた。零に450ダメージ。
レ「あちっ! くはない。」
見た目に騙されるが、熱さは感じないし服も燃えない。
ア「我に任せよ!闇の球!」
アヌビスがお得意の闇の球をサラマンダーにぶつける。サラマンダーに2000ダメージ。サラマンダーは「ぐぎゃぁ!」とびっくりしたように叫ぶと、火の壁を生み出した。零に450ダメージ、弥生に400ダメージ、アヌビスに0ダメージ、イルナに530ダメージ、サラマンダーに530ダメージ。
イルナはいつの間にか、ダメージリンクをサラマンダーに使っていたようだ。自分が攻撃したのに、自分もダメージを受けたことにサラマンダーは驚いているようだ。
その混乱の一瞬に、弥生が手裏剣を投擲した。手裏剣は、サラマンダーの右目に刺さり、振動する。クリティカル発生、サラマンダーに3851ダメージ。振動にひるんでいるようなので、俺は追撃に刀で胴を斬りつける。サラマンダーに140ダメージ。うん、俺の攻撃力低いな! サラマンダーは、それでも邪魔に感じたのか、長い尻尾で叩きつけてくる。零に0ダメージ。俺は反動でふっとびながらも、ぶざまに転ぶことなく着地した。
イ「・・・私も、やる。白炎。」
イルナはダメージリンクを切ると、ヒノトリを憑依させてサラマンダーに火魔法を唱える。サラマンダーに1000ダメージ。継続ダメージ、サラマンダーに500ダメージ。火をまとっているが、サラマンダー自体には火耐性が無いので、普通に通じたようだ。サラマンダーはコアになった。
レ「イルナも結構戦闘に慣れたな!」
俺はイルナの頭をやさしくなでる。
イ「・・・いっぱい、練習した。」
イルナは嬉しそうにほほ笑んだ。その後も何匹かのそのそと現れたサラマンダーを倒していると、ズシン、ズシンと大きな音がしてきた。バキバキと木を倒しながら現れたのは、牛の顔に屈強な体を持つモンスターだった。弥生が素早く鑑定する。
ミノタウロス(巨人):HP12000、MP3400、攻撃力1000、防御力600、素早さ500、魔力100、スキル:雄たけび、HP自動回復(中)装備:斧・攻撃力100、鎧・防御力100
いかにも物理攻撃大好きですと言うステータス具合だ。ミノタウロスは、雄たけびをあげる。周囲が震えるような大声に、イルナは委縮してしまった。雄たけびによって他のモンスターも寄ってくるだろう。弥生はけん制の意味も込めてミノタウロスに手裏剣を投げる。貫通、ミノタウロスに1170ダメージ。それが気に入らなかったのか、ミノタウロスはもう一度雄たけびを上げながら斧を振りかぶって近づいてくる。
ア「真闇!」
アヌビスの闇魔法で真っ黒になったミノタウロスは、急ブレーキをかけると目をこする。その隙に俺も攻撃した。クリティカル発生、ミノタウロスに540ダメージ。
イ「・・・憑依、ヨルムンガンド。」
イルナはヨルムンガンドを憑依させると、目が蛇のように黄色くなり、瞳孔が細くなった。イルナは目にもとまらぬ踏み込みで、ジャンプすると、ミノタウロスの鳩尾にパンチを打ち込む。クリティカル発生、ミノタウロスに10160ダメージ。ミノタウロスの巨体がふきとんで大木にぶつかると、大木がメキメキと折れていった。
レ「すごいな・・・。」
ヤ「見かけによりませんね。」
ア「我も負けていられんな。闇の球!」
アヌビスがふきとんで真闇の解けたミノタウロスに、追い打ちの闇魔法を当てる。ミノタウロスに2700ダメージ。
ア「むっ、倒せておらんな。」
ヤ「自動回復してしまったようですね。投擲武器操作!」
弥生はミノタウロスの腕に手裏剣を当てる。貫通、ミノタウロスに1170ダメージ。ミノタウロスはコアになった。
ヤ「やりました!」
ワ「油断するな、次が来るぞ。」
喜んでいる俺達の前に、再びミノタウロスが現れた。まだ憑依時間の残っているイルナがミノタウロスに近づくと、ローキックを放つ。ミノタウロスに4300ダメージ。ミノタウロスはゴロゴロと転がっていったが、勢いが弱まったところで手をついて起き上がると、頭の角を前にして俺に突進してきた。俺は角を掴んで受け止める。零に250ダメージ。しかし、受け止めたは良いが、俺はそのままズズズーッと押されていく。
ヤ「投擲武器操作!えいっ!」
弥生は手裏剣を3つ真上に飛ばすと、カーブさせてミノタウロスの首に当てる。貫通、クリティカル発生、ミノタウロスに3239ダメージ×3。ミノタウロスは、コアになった。
ワ「まだまだ来るぞ!」
今度はサラマンダーが3体現れた。
レ「次から次へと!」
イルナは憑依が解けて荒く息をしている。代わりに、元気いっぱいなアヌビスは、闇の球をサラマンダーへ当て、サラマンダーからの炎は0ダメージで受けながら、倒した。装備の力で、アヌビスにとってはこの階層も相手にならなさそうだ。
ア「やったのじゃ!」
あたりにもう敵は居ないかどうか、アヌビスの千里眼で調べたが、付近にはもういないようだ。
レ「ふぅ、いきなりの連戦は疲れるな。」
ダメージ自体はほとんど無いが、巨大な敵を相手にするのは気分的に疲れる。
ヤ「ミノタウロスを見ていたら、お腹が空きました!」
レ「じゃあ、一旦帰って飯を食うか」
ア「わかったのじゃ!」
俺達は一旦戦闘を切り上げ、食堂へいくことにした。
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