第53話 閑話 魔界
ラ「また、悪魔が現れたようです。ワルキューレが何とか対処したようですが、もしメデューサ並みの悪魔がまた現れた場合、対処できない可能性があります。」
は「うーむ、こちらも黒いコアの解析が思ったより進んでおらんしのぅ。魔界の様子はどうじゃ?」
ラ「メデューサを倒してからは、目立った動きは何もありませんが、嫌な感じはします。」
は「よろしい、引き続き調査を頼む。」
ラ「かしこまりました。」
私は、魔界に分身を送る。戦闘力は私の1000分の1ほど。仮にメデューサ並みの悪魔が復活していたとしても対処できるだろう。
ここからは、分身の視点である。
私は、魔王城の近くの村に着いた。勇者との戦闘の為、生き残りの魔族は居ないはずだ。しかし、魔族未満の雑魚悪魔はまだ生き残っている。誰かの眷属だったのだろうか、目玉に翼が生えた様な悪魔と、一つ目の蛇が話をしている。私はウサミミをしっかりとそちらに向けて聞き逃さないようにした。目玉に翼が生えた方は目玉、一つ目の蛇の方は蛇と呼ぶことにする。
目玉「おい、知っているか?魔族様が殲滅されたらしいぞ。」
蛇「知ってるも何もつい最近の話で、知らない奴なんて居ないだろ?」
目玉「それもそうか。じゃあ、これはどうだ?実は、魔王様が生きているらしいぞ。」
蛇「何!それは初耳だ。だが、勇者に倒されたと聞いたぞ?」
目玉「それなんだが、魔王様と勇者が相打ちになったとき、その後どうなったか誰も見ていないのだ。」
蛇「え?勇者が元の世界に帰ったって聞いたから、てっきり魔王様が負けたのかと思ったんだが。」
目玉「それが、勇者は魔王様の核を壊さずに帰ったらしいぞ。魔王様の核が壊されたら、眷属たちも消滅するが、四天王様も消滅していないらしいからな。」
ラ「四天王も生きているなんて、最悪ね。」
蛇「へー、それは初めて知ったな。じゃあ、魔王様は復活するのか?」
目玉「いや、その核が見つからないって四天王様もおっしゃっていた。もしかしたら、古の悪魔である・・・が復活されたのかもしれないな。」
蛇「え?誰だって?」
目玉「ばか、名前を言うとそれだけで影響がでるんだってよ。何にかはしらないけど。とりあえず、魔王様よりヤバいってことだけは確かだ。」
蛇「じゃあ、この話は終わりだな、飯でも食いに行くか?」
ラ「いいえ、その話、詳しく聞かせてもらえないかしら?」
私は、ウサギの魔物に変身すると、会話に混ざることにした。
目玉「お前誰だ?見ない顔だな。」
ラ「最近生まれたの。魔王様の部下の・・・誰だったかしら?」
蛇「お前、自分の作り主も知らないのかよ。もしかして、勇者に倒されたとかか?」
ラ「そうかもしれないわ、気づいたら誰も居なかったもの。」
目玉「それなら仕方ないな。で、何の話を聞きたいんだ?」
目玉は噂話が好きなのか、誰かにしゃべれるのが嬉しそうだ。口は無いけれど、どこでしゃべっているのかしら?
ラ「古の悪魔というのは何かしら?」
目玉「ちょ、聞いていたのかよ!?」
目玉はキョロキョロと周りを確認するが、誰も居ないことに安心する。
ラ「見ての通り、耳が長いから、たまたま聞こえたのよ。」
蛇「確かに、耳は良さそうだな! ついでだから、俺にも詳しく教えてくれよ、俺も気になる。」
目玉「ちっ、仕方ないな。絶対俺が話したって言うなよ?」
目玉は少し小声になって話す。
蛇「絶対誰にも言わないって。」
ラ「私も誰にもしゃべらないわ。」
目玉「よしよし、じゃあ話すぞ?俺も見たわけじゃないから、正確かどうかは知らないが。昔、魔王様よりもさらに強大な王が何人も居たらしいのだ。当時の最高神とやらに反旗をひるがえしたらしくてな?何人か封印されたらしい。そのうちの一人が復活なされたらしいぞ。」
蛇「さっき名前を伏せたやつか?誰なんだ?」
目玉「それはな・・・ベっ。」
そこまで言うと、目玉は石化した。
蛇「な、名前を言おうとしただけで石化した・・・ひぃぃ。」
蛇はそれを見て逃げ出してしまった。あぁ、貴重な情報源が居なくなってしまったわ。
ラ「魔王の核が見当たらない事と、四天王の対処について、早急に行動する必要がありそうね。」
ロ「あらあら、いけない子達ね。」
声のした方を見ると、綺麗な女性が空中に浮かんでいた。左手には、さっきの蛇の悪魔が握られている。
蛇「た、助けてくれ!」
蛇は助けを求めるが、私が接近に気づかないほどの敵だ、助ける義理も無いが助けられると思えない。
ラ「あ、あなたは誰?」
ロ「私?私はロキエルって言うのだけれど、知らないかしら?」
私は背筋がゾワリとした。ロキエルと言えば、中級魔族だ。メデューサなんてこの悪魔から比べれば雑魚だ。私は逃げるタイミングを計るように、後ずさりする。
ロ「そんなにおびえなくてもいいわよ?それで、何の話をしていたのかしら?」
蛇「俺達は単に魔王様の話をしていただけだ! それ以外しらねぇ!」
ロ「あなたもそうなのかしら?」
ラ「そうよ、それ以外何も話していないわ。」
ロ「変ねぇ、じゃあ、それは何かしら?」
ロキエルが指さした方を見ると、石化した目玉がある。
蛇「そいつは、なんか古の悪魔の名前を言おうとしたら勝手に石化したんだ!俺は何もしていない!」
蛇はビタンビタンとシッポを振る。
ロ「そう、じゃあ、さようならかしら?」
ロキエルはそういうと、蛇の頭を砕いた。ヨルムンガンドに13496000ダメージ。
ロ「かわいらしいあなたも、さよならね?」
ロキエルは、私を蹴り飛ばした。ラヴィ(分身)に13400000ダメージ。
ロ「あら?おかしいわね、下級魔族並みの防御力があったわ。鑑定しておけばよかったわね。」
ロキエルは少し首をかしげたが、まあいいかと石化した目玉を踏み抜くと、転移していった。
ラ「まさか、中級魔族まで現れるなんて・・・。」
分身が倒されたことにより、情報が私に伝わる。魔神と呼ばれたカイザーも、実は中級魔族で、女神ランクⅢ程度のステータスだった。だが、ロキエルはその10倍は強い、女神ランクⅡ並みだ。私本体が行けばロキエルには勝てるけど、敵がロキエルだけとは限らない。もし、それ以上の悪魔がいたら・・・。私ははじまる様に報告しに行った。
ラ「はじまる様、報告が。」
は「おお、ちょっと待っておれ。それじゃあ、後は頼んだぞ。」
はじまる様は、黒い球を上級神に渡す。
は「それで、どうじゃった?」
ラ「中級魔族も復活しておりました。また、カイザーの核も見つかって無いようです。」
は「ふむ、黒いコアに誰が捕まっているのか、早々に確認する必要が出てきたのぅ。ラヴィよ、引き続き調査を頼むぞ。」
ラ「はい、分かりました。」
私は、再び分身を作ると、魔界の調査に向かわせた。
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