第45話 ダンジョン攻略8日目

アラームが鳴る。もう朝か。今日はアヌビスの方が起きるのが遅く、昨日みたいな事にはならなかった。毎日トラブルがあっても困るけどな!今日はダンジョンの5階を攻略しようと思う。いつも通りの時間に弥生とワルキューレが来たので、アヌビスを起こした。





ア「なんじゃ?我は今日は眠い、ぐーっ。」


レ「寝るな!朝飯だぞ。」





アヌビスをグリグリして起こすと、「ふぁーっ」とあくびをして服を脱ぎだした。ちなみに、子供用のパジャマを着せてある。





ヤ「男の人の前で着替えないでください!」





弥生はアヌビスの手を掴むと、奥の部屋へ連れて行った。





ワ「相変わらず騒がしいな。」





ワルキューレも眠いのか、目をつぶって壁に寄りかかっている。





ワ「これは瞑想だ。」





だそうです。しばらく待つと、アヌビスと弥生が戻ってきた。俺達は朝食を食べることにした。


面倒だったわけではないが、全員ホットケーキにした。アヌビスが昨日食べて気に入ったので、また食べたいと言ったからだ。俺も特に反対しなかったら、じゃあ全員それでいいやって感じだ。





ケルベロちゃんがすぐに現れると、テーブルに並べてくれた。アヌビスにはハチミツをたっぷりかけてやる。弥生はバターだけでいいようだ。ワルキューレは牛乳と生クリームか。白が好きにもほどがあるだろ。俺はそのままでいいや。





ケルベロちゃんに挨拶をして、ダンジョンに向かう。インターフォンを押すと、ラヴィ様が出た。今日は普通に居るらしい。今日は5階に行くことを告げ、エレベーターに向かった。4階のエレベーターの横から5階に着くと、変な臭いがする。





ヤ「くさいです・・、とっても。」





弥生は鼻をつまんで鼻声だ。





ア「ふむ、ピラミッドのミイラのにおいもするの?」





そう言われると、包帯の臭いもかすかにする気がするが、くさった臭いが強い。


ワルキューレは気持ちが悪そうな顔をして鼻をつまんでいる。この階はトラップ類が無いのか、今のところ見つかっていない。臭いからして敵の想像はつくが、正直遭いたくない。





ゾ「あああああーーー」





曲がり角から急に腐った死体が飛び出してきた。VRゲームの再来かよ!俺達は一旦回避して距離を取る。そして、弥生に鑑定してもらう。





ゾンビ(不死):HP3100、MP500、攻撃力100、防御力20、素早さ70、魔力0、スキル:HP自動回復(中)、感染





レ「HPがめっちゃ多いうえにHP自動回復持ちかよ・・。そもそも触りたくないし。」


ヤ「私も触りたくないので、遠距離攻撃します!」





弥生は手裏剣を投げる、ゾンビに238ダメージ。手裏剣は、ゾンビの眉間に当たったが、やはり人間と違うのか、クリティカルにならないようだ。そこはリアルにしてほしくないな。あと、衝撃波が発生して汁が飛び散るので、今後は衝撃波は無しの方向でお願いしたい。





ア「我に任せるのじゃ!闇の球!」





アヌビスはゾンビに闇魔法をぶつける、ゾンビに1000ダメージ。さすが魔力0のゾンビには大ダメージだ。しかし、まだまだHPがあるな・・。俺もゾンビの手をスラタン刀で切る。ゾンビに130ダメージ。弥生が残りHPを見ようと鑑定する。





ゾンビ(不死):HP2662/3100、MP500、攻撃力100、防御力20、素早さ70、魔力0、スキル:HP自動回復(中)、感染





ヤ「ダメです、回復してほとんどHPが減ってません!」


レ「ワルキューレ、何か手は無いのか?」





俺は明らかに近寄らない様にしているワルキューレに聞く。





ワ「4階の敵よりも素早さは低いようだ。攻撃を当て続けるしかないだろう?」





普通の回答しか得られなかった。有効属性とか、特効武器とか、そういうのが知りたかったんだけど。





ワ「それより、臭いがきつい。それに気になる事がある。私は一旦帰るぞ。」





そう言うが早いか、鼻をつまんだまま鼻声で転移と唱えると、帰っていった。





レ「役にたたねぇ!もともと手伝う気は無さそうだったけど、せめて近くにいろよ!」





俺は悪態をつくと、ゾンビの方を見る。ゾンビは、弥生に向かって噛みつこうとしたが、弥生は倍以上のステータス差でやすやすと回避している。アヌビスも、臭いがきついのか、最初の勢いがなくなり、涙目になって距離を取っている。ゾンビは俺の方に来ると、抱きついてきた。





レ「くそ、このまま抑えているから、攻撃してくれ!」





俺は嫌だけどゾンビの両腕を掴むと、逃げないように拘束した。





ヤ「分かりました!えいっ!」





弥生は投擲武器操作で8つの手裏剣をゾンビの背中に当てた。ゾンビに238ダメージ×8。





レ「もう少しだ!アヌビス、とどめを!」


ア「分かったのじゃ!」





アヌビスが闇魔法を唱え、闇の球を作り出す。しかし、発射する前にゾンビが行動した。ゾンビが俺の首筋に噛みついた。零に0ダメージ。だてに防御力を上げていたわけじゃなく、こういう状況も想定していたんだ!と言えたらいいが、たまたまだ。





ゾンビが密着しすぎているため、アヌビスは闇の球をぶつけれないでいた。指先にでも俺に当たったら俺が死ぬ。蘇生出来るやつが今は居ないから勘弁してほしいな。





ヤ「大丈夫ですか!?」





ゾンビはさらにはむはむと俺の首筋に歯を立てる。零に0ダメージ。俺はゾンビの右腕を左手で下に引っ張ると、首にスラタン刀を振り下ろした。クリティカル発生、ゾンビに306ダメージ。態勢を崩したゾンビが転がった。首が弱点のようだ。





レ「アヌビス、今だ!」





アヌビスは待ってましたと闇の球を発射する。転がったゾンビの顔面に闇の球が当たる。ゾンビに1000ダメージ。ぐずぐずしている間にまた回復したのか、ゾンビは死んでいない。いや、死んでいるけど倒せてないというべきか?まあいいや。





レ「弥生、首が弱点だ!」





弥生は出来る限り呼吸をしない様に、口に空気を貯めたままこくりと頷き、クナイを首に投げた。クリティカル発生、ゾンビに578ダメージ。ゾンビはコアになった。





レ「やっと倒したか。」





俺はため息をつくと、床に座った。





ヤ「ゾンビを倒したら、少し臭いが収まった気がします!」


ア「我は人より嗅覚が優れておるのか、まだ臭うのじゃ。」





弥生はクナイと手裏剣を回収すると、アイテムボックスにしまった。

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