第23話 アナザー

アナザー(とある4人組)





目が覚めた。7時くらいだろうか。朝食を食べ、装備を整える。皆自然とファイターの部屋に集まってきた。





マ「1日たったけど、やっぱり夢じゃないわよねぇ。」





マジシャンは、恰好だけさらにマジシャンになっていた。いつの間に用意したんだとんがり帽子。


皆、本物の武器、防具に入れ替えたので、コスプレではなく、本当の冒険者にしか見えない。マジシャンなんて、木の杖から樫の杖になったとたんに、単なる棍棒から魔力が上がるファンタジー武器になったしな。





フ「ああ、俺達は本当に冒険をしているんだ。今日もがんばろうぜ!」





俺は手をグーにして出すと、シーフ、ナイト、マジシャンの順で同じように手を重ねてくれる。


俺達はうなずき合うと、ダンジョンへ向かった。


ダンジョンに着くと、バンプーが居た。





バ「早いな、お前ら。ラヴィ様は8時からしか居ないから、あたしが受付する羽目になっただろ。」


バンプーはふぁーとあくびをする。そんなルール初めて聞いたぞ。


フ「来てしまったのはしょうがないだろ?今度から気を付けるよ。」


マ「魔法を使うのが楽しみで、あまり眠れなかったわ!」





マジシャンはまるで遠足前の小学生のようだ。





バ「わかった、さっさとダンジョンへ行くぞ。」





俺達はバンプーに連れられてダンジョンへ入った。今日は2階からだ。





フ「スライムだらけだな。」





俺はスライムに斬りつける。スライムに20ダメージ。





マ「でも、魔法も使ってくるわ。」





ファイアスライムの火魔法、マジシャンに0ダメージ。





ナ「物理攻撃は拙者に任せるでゴザル。」





ストーンゴーレムの攻撃、ナイトに0ダメージ。





シ「あ、そこに罠があるから気を付けるでゲス。」





俺達はそんなに強くないスライムを狩り続けた。最初に比べれば大分連携が取れてきた。





マ「ファイアー、落とし穴!」





サンドスライムに35ダメージ、ストーンゴーレムに42ダメージ。スライムは魔法で攻撃してくるが、マジシャンの魔力より高い奴は居ないらしく、魔法を受けても0ダメージだ。ヒュージスライムというボスっぽいスライムも居たが、ナイトの防御を抜くことは出来ず、マジシャンが焼き尽くした。俺の攻撃、ヒュージスライムに0だったよ・・。そういうわけで、ここで俺達はしばらくステータスを上げることにした。


切りのいいところで、俺達は休憩を取った。





フ「なぁ、誰か料理出来るやつは居ないか?」





俺はマジシャンが作ってくれた雑草を生で食う。これ、ヨモギの味がする。





シ「料理したことはないでゲス。」





まあ、そうだと思ったよ。





ナ「拙者も。」





見た目出来そうだがな?





マ「私も無いわね。」





頼みの綱のマジシャンもだめか。俺達はため息をつくと、ヨモギと「もやし」で腹を満たした。今度から、昼飯くらいは持ち込むか・・。














アナザー(とある魔族)





ダ「よし、狩りに行くぞ。」





俺様は朝6時にダンジョンに向かった。ダンジョンの受付には、リリスが居た。受付は昨日のうさぎの獣人じゃないのか?





リ「おはようさん。こないはよう時間から行かんでもえんやない?ラヴィ様はまだきとらんで?」





リリスは気分的に疲れが取れていないのか、げんなりした顔をしている。





ダ「休養など時間の無駄だ、俺様はそんなにやわじゃない。」


リ「まあええけど、うちもダークがはよ強うなった方が助かるしなぁ。」





リリスはダンジョンの入口まで見送ってくれた。俺様はさっさと3階に行くと、さっそくオークと相対した。





オ「ちっ、なんだ野郎かよ。」


オ「硬そうねぇ、最初は魔法で逝っとく?」


ハ「そうだな、やっちまえ。」





オークマジシャンが木魔法を唱えると、俺様の足元から木が槍の様に飛び出してきた。ダークに40ダメージ。ダメージは大したことないが、俺様はバランスを崩してしまった。





オ「隙あり!」





オークは棍棒でダークに殴りつける。ダークに0ダメージ。





オ「ち、やはり硬いな。」


ハ「こうやるんだよ、オラッ!」





ハイオークはダークの背後に回ると、首に斬りつける。クリティカル発生、ダークに78ダメージ。





ダ「ぐぁっ。」





俺様は衝撃で吹き飛ぶ。





オ「さすが兄貴!痺れるっす!」


ダ「なめるな!」





俺様は槍を突き出すと、オークの足に当てた。オークに70ダメージ。思ったよりダメージを与えられないことに俺様は焦りを覚えた。





オ「やりやがったな!」


オ「慌てないで、援護するわ。木魔法!」





オークマジシャンが木魔法を唱えると、俺様の足に茨が絡みついてくる。ダメージは無いが動けない。





オ「お返しだ!」





オークは棍棒を叩きつけてくる。ダークに0ダメージ。





オ「やっぱり、鎧の上からじゃダメージは与えれないか。脱がせてしまうか?」


オ「そうね、脱がしちゃいましょう。」


ハ「野郎の裸なんて見たくも無いが仕方ねぇ。」





オーク達が近寄ってくる。俺様も、さすがに防具無しでは厳しい。急いで茨を槍で払うと、退却した。





ハ「待ちやがれっ!」





オーク達が慌てて追いかけてくるが、俺様の方が素早さは上だ。なんとか追跡を振り切ってエレベーターで帰った。





リ「ダークはん、お早い帰りで?」





リリスは、俺様が退却したことの何がうれしいのか、にやにやしている。





ダ「うるさい、今回は様子見だったんだ。」





俺様はリリスからの視線を切って横を向く。





リ「ほな、これからどないするん?」





うざい事に、リリスは楽しそうに回り込んできた。





ダ「しばらく2階にこもる。邪魔するな。」





俺様はリリスに向かって槍を振る。あっさりと回避されたが、振り払う事には成功した。





リ「へたれやなぁ。まあええわ、夜になったら迎えに行くわ。」





リリスはそう言うと、転移していった。





ダ「くそっ!」





俺様は床を殴りつけると、2階へ向かった。

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