第21話 閑話2日目の夜

ゴ「ケケケ、ここが育成場所か?」





ゴースト(霊体):HP12000、MP5000、攻撃力1000、防御力1000、素早さ800、魔力1000、スキル:透過、飛行





一匹のゴーストが壁を抜けてビジネスホテルの中に入り込んできた。真っ黒のぼろぼろの布の様なフードを被っている。フードの中は骸骨であった。フードが無ければスケルトンだが、フードを被ると死神に見えるのは不思議だ。





ゴ「たしか、見習い女神どもを殺していいんだよな?」





ゴーストは背負っていた漆黒の鎌を両手で掴み、くるくると振り回した。





神殺しの鎌、攻撃力100。神に対しダメージ10倍、神の攻撃力90%ダウン。





ゴ「この鎌さえあれば、見習いどころか普通の女神すら殺せるんじゃないか?ケケケ。」





ゴーストはうれしそうに笑うと、ビジネスホテルの中を飛んでいく。





サ「バウ、バウッ!」


ゴ「なんだこの犬?殺されたいか?」





ゴーストは、ケルベロちゃんがサーベラスと名付けた分裂体のケルベロスに向かって鎌を向ける。





ケ「なんだおめーは?あたち達に何か用か?」





ケルベロちゃんは、とっくに侵入に気づいていたゴーストに向かってゆっくりと歩いてきた。





ゴ「お前が見習い女神か?チビで雑魚そうだな、ケッケッケ。」





ゴーストは馬鹿にしたようにゆらゆらと浮遊すると、ケルベロちゃんに近づいていく。





ケ「誰がチビで雑魚だって?」


ゴ「お前だお前、なんだ?鏡も見たこと無いのか?」





ゴーストはさらにケルベロちゃんを煽ると、くるくると空中を回る。





ケ「ぶっ殺す!」





ケルベロちゃんはジャンプすると、ゴーストに向かってパンチを繰り出した。





ゴ「俺に物理攻撃なんて当たらないぞ?」





ゴーストは透過でパンチを回避すると、鎌でケルベロちゃんの背中に攻撃する。クリティカル発生、ケルベロちゃんに11000ダメージ。





ゴ「おや?1万超えのダメージで生きているだと?お前、見習い女神じゃないのか?」


ケ「見た目で判断してると長生きできないぜ?ぷっ、もう死んでるんだったか。ん?攻撃力90%ダウンか、なかなかいい武器持ってるじゃないか。」





ケルベロちゃんは手をグー、パーと開いたり閉じたりしながら、次の攻撃のタイミングを計っている。





ゴ「例え女神でも、この武器があれば怖くねーな。」





ゴーストは警戒するように飛んで離れていたが、攻撃力90%ダウンが効いていると聞いて少し余裕を持ったようだ。





ゴ「魔法も使う様子が無いし、素早さも無い。女神に成りたてか?今だったら勝てるな。」





ゴーストは天井の壁の中へ入っていった。





ケ「おいおい、逃げるのか?」


ゴ「逃げるわけがないだろ?隙だらけだぜ!」





ケルベロちゃんは天井を見ていたが、ゴーストは床から現れると、ケルベロちゃんの背中に斬りつけた。クリティカル発生。ケルベロちゃんに11000ダメージ。





ゴ「弱い!弱いな!これでさらに攻撃力90%ダウンだ!もう攻撃力1000も無いだろ!」


ケ「ぐっ、なかなか厄介な攻撃をする。」





ケルベロちゃんは、バックステップで距離を離すと、ゴーストはあっさりと警戒を解き、煽り始める。





ゴ「魔神様も心配性だよな、この武器があればもう女神も怖くねー。」


ケ「そうか、黒幕は魔神か。」


ゴ「それを知ったところでどうする?お前はここで死ぬけどな?ケケケ。」


ケ「本気で戦っていたわけ無いだろ?遅すぎて逆に当たってやるのがつらかったよ。」


ゴ「けっ、負け惜しみを。魔法も無い、攻撃力も1%になったんじゃもうどうしようもないだろ?」


ケ「別に魔法が使えないわけじゃないが、ハンデで魔法を使わないでやるよ。」


ゴ「くだらない挑発だな、チビ、これで止めだ。」


ケ「くくくっ、あたちのHPも分からないのにもう止めの気分か。」


コ゛ーストは柱の中に隠れると、また床からケルベロちゃんの背中を狙う。





ゴ「死ね!」


ケ「はぁ、背中ばかり狙いすぎだろ。」





ケルベロちゃんは半身になってあっさりと鎌を回避すると、裏拳でゴーストの顔面に攻撃した。ゴーストに39500ダメージ。





ゴ「ぐはっ、この俺が・・・やら・・れる・・と・は。」


ケ「効果は本物だが、神殺しの武器にしては攻撃力が低すぎる。複製品か・・?」





ゴーストが消滅すると、武器もボロボロと崩れて消えた。ゴーストのMPを使っていたようだ。


ケルベロちゃんは、ラヴィ様にどう報告しようかと思案を巡らせていると、戦いが終わって近づいてきたサーベラスが、ゴーストのコアを咥えた。





ケ「おい、それはエサじゃないぞ!でも、今後こういうことがあったときに何かの役に立つか。」





ケルベロちゃんは、そのままサーベラスにコアを与え、サーベラスは見習い女神よりも強くなったのだった。

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