第13話 ステータス上げとチョロイン
エレベーターからでて、横にある階段から2階へ向かった。思った通り、2階の階段の横にエレベーターがあるような事は無く、予想を言えばダンジョン入口の真上が3階の階段だと思う。
レ「今思ったんだけど、非常階段で上に登った方が早いんじゃないか?」
ヤ「そんなズルして大丈夫ですかね?」
メ「大丈夫じゃないよ!あれは本当に非常時にしか使えないよ!」
レ「びっくりした!毎回急に出てくるなよ!」
メ「え?今回はずっと透明になってついてきてたんだよ?」
実際に、メィルは透明になったり現れたりを繰り返して見せてくれた。幽霊みたいだ。「それに、転移なら魔法陣で分かるでしょ?」と。
ヤ「全然気づきませんでした・・。」
メ「今日は一日暇なので、千里眼で見るより実際に見た方が楽しいと思って!」
右側で消えたと思ったら左から現れたりと、透明を無駄に使われるとうざい。
レ「俺達は暇つぶしの為に冒険してるんじゃないぞ・・。そういえば、最終的にお前の為じゃないか!」
メ「はい!がんばって、お兄ちゃん!がんばってくれたらきちんとお礼をするからね!」
メィルはうるうると上目遣いでお願いしてきた。
ヤ「か、かわいい!がんばりましょうね!源さん!」
メ「ふっ、チョロイン。」
レ「おい、今こいつチョロインとか言ってたぞ。」
ヤ「チョロインって何ですか?」
レ「ちょろいヒロインの事だな。」
ヤ「ひどっ!がんばる気無くしました、ええもう帰りましょう!」
メ「どっちにしろ、ダンジョンをクリアしないとここから出られないし?期限も30日切ってるし?」
ヤ「むかっ、源さん!こんなこと言ってますよ!超むかつきます!」
レ「むかって口で言うやつ初めて見たよ・・。まあ、やるだけやってみようぜ、実は異世界生活もやってみたかったんだ。」
ヤ「あ、私もです!小説を読んでると自分ならもっとうまく出来るのに!とか思いますもん!」
一瞬で機嫌を直した弥生である。今のうちにメィルには帰ってもらおうか。
レ「そういうわけで、俺達はこのままダンジョンクリアをがんばるから、遠くから見てろよ。」
メ「わかったよ!お兄ちゃん!」
メィルもタイミングに気づいたのか、魔法陣が現れ、転移していった。自宅に帰ったメィルは、千里眼での観察に変えた。
改めて2階を見渡して、相変わらずぬるぬるの床だなと思いながら、
レ「さっきメィルを見て思い出したんだけど、前にコアから分裂体を作れるって説明を受けた時は、てっきり倒された分身のコアを使いまわせるって意味だと思ったんだけど、ほらこれ。」
俺はゴブリンのコアを元にした分裂体を作った。姿はゴブリンだが、色は水色で、体の中心にうっすらとコアが見える。今回、MPは10しか使っていないので、ステータスは低いだろうな。
ヤ「へぇ、コアを基にした場合でもちゃんと腰布付けているんですね。」
弥生は暗に「源さんは裸だったのに!」って言っているんだろうが、イメージの差だろうな。腰布をつけたゴブリンっていうのが基本になっていて、それ以外想像がつかないだけだ。それに、あくまで見た目が布なだけで、実際は裸だぞという事は黙っていよう。虫や動物を裸だと判断しないようなものだ。
とりあえず、ゴブリンとペプシ(区別するために名付けた)に罠を探すように命令してダンジョンを進むことにした。すると、見たことが無いスライムが現れた。スライムは様子を見ている。そんな感じで2階での戦闘開始だ。
レ「赤いスライムだな。さっそくだけど、モンスターのステータスを見てもらえるか?」
ヤ「わかりました!スカウターをぴぴっと。」
弥生はいつの間にか鑑定眼鏡をスカウター型に変化させていた。誰かに怒られても知らんぞ。
ファイアスライム(動物):HP35、MP55、攻撃力30、防御力25、素早さ8、魔力22、スキル:火魔法(4)
普通のスライムと桁違いの強さだな。初日に来た時にこいつと会ってたら死んでたなきっと。素早さがスライムのくせに昔の俺より高いし。ちなみに普通のスライムのステータスはこれだ。
スライム(動物):HP5、MP5、攻撃力20、防御力15、素早さ1、魔力2、スキル:分裂
俺は試しにゴブリンをけしかけることにした。
レ「いけ、ゴブリン、切り裂く攻撃!」
俺は右手でファイアスライムを指さすと、ゴブリンに命令した。ゴブリンはスライムに向かって爪で攻撃するが、当然ダメージは0だった。このゴブリン、おそらく攻撃力が5もないだろうしな。ところで、スライムの急所ってコア以外あるのか?いろいろ考えているうちに、ファイアスライムはゴブリンに向かって火の玉を飛ばしてきた。ゴブリンに21ダメージ。ゴブリンはコアを残して消滅した。
レ「やはりゴブリンじゃ無理か。一旦退却だ!ペプシ、時間を稼いでくれ!」
俺達はペプシを囮に1階へ戻った。素早さは俺達の方がスライムより上だから、囮の意味は無いな。ペプシの無駄死にか?
改めて自分たちのステータスを確認する。
源零:HP53、MP45、攻撃力10、防御力15、素早さ15、魔力1、スキル:分裂
形無弥生:HP122、MP90、攻撃力15、防御力13、素早さ28+5.6、魔力1、スキル:変化、投擲術(3)
投擲術のレベルが上がり、投擲ダメージ1.3倍、素早さ1.2倍、飛距離1.1倍になったようだ。
ついでに、装備の確認もしてもらうと、スラタン(短刀)の攻撃力10、プラスチックのクナイ攻撃力1、プラスチックの手裏剣攻撃力1、俺が渡した分裂体で作った手裏剣攻撃力5が3つ。ちなみに、俺のスーツは防御力0だが、弥生の忍者服は防御力5だった。
レ「弥生がスラタンを装備したとしても与えれるダメージは0か。投擲すればダメージは通りそうだが、1回で倒せないと武器が無くなって、結局意味が無いしな。」
ヤ「そうですね。クリティカルの出る部分がもしコアだけなら、少なくともぶよぶよの部分は貫通しないといけないと思いますし。」
レ「もうシリカゲルも無いしな・・。取り寄せてもらうか?」
ヤ「見た感じ、それじゃもう効かなさそうですけど。それにきちんと倒せないとこれから戦うとき、きつくないですか?」
弥生の言葉に最もだと思った。
レ「じゃあ、地道にゴブリンを倒してステータスを上げるか。何か効率がいい方法が無いものか。」
ヤ「影分身はどうですか?」
レ「いや、俺は忍術使えないし・・って似たような事は出来るか?」
俺はMPを10使って戦闘向けのイメージをして分裂と唱えた。
ヤ「かわいいですね!ステータスはHP2、MP0、攻撃力9、防御力10、素早さ4、魔力0です。」
俺は40cmくらいのケルベロスを作った。なぜか戦闘用の猟犬をイメージしたらこうなったのだ。ドーベルマンの首を3つにしてデフォルメした感じだ。
レ「まあ、この強さならゴブリン相手には十分だな。」
俺は残りのMPを使ってもう3体作った。
レ「よし、ケルベロス達よ、ゴブリンを倒して経験を得てくるんだ!ステータスは攻撃力と素早さ重視で!4時間経ったらここに戻ってこい!」
ケルベロス達は「バウ!」と元気に吠えてゴブリン狩りに突撃していった。
ケルベロス達が狩りに行っている間、俺達はエレベーターを使ってフロントに戻り、さらにビジネスホテルに向かうと、ケルベロちゃんに漫画を取り寄せてもらうなどして時間を潰し、4時間ほどしてから再び1階に戻った。え?一緒に戦わないのかって?疲れるから嫌です。
ケルベロス達はきちんと4時間で戻ってきた。よしよし、偉いぞ!
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