薬屋

物書未満

求めるもの

「ヒヒヒ、いらっしゃい。なに? 薬が欲しい?」


「ほほう、咳止めが欲しい、と。ならこれがいい」


「ありがとうよ。お代はそこに置いておくれ。早く治るといいねぇ」


……

…………


「ヒヒヒ、いらっしゃい。ほう、妹が熱を出して、ねぇ……それにしたってよくここに来たもんだ」


「熱冷ましは……これだね。持っていくといい」


「お代は結構。ここにきた勇気に免じて、ね」


……

…………


「ヒヒヒ、いらっしゃい。へぇ、意中の男を射止めるために惚れ薬が欲しいのかい」


「そんなことに薬を使うのもどうかと思うがねぇ。まぁいいよ、これが薬だ」


「ちょいと値は張るよ。……ふふん、よっぽど本気だねぇ」


……

…………

……………………


「ヒヒヒ、いらっしゃい。む、その呪いを解く薬が欲しいと?」


「……それは薬では無理だねぇ」


「なに、そんなに落ち込む事はない。手はあるのさ。だけど、それを治すなら『毒』になるよ」


「ふん、毒を受けたのに更に毒を入れて大丈夫なのかって? そんなもの分かりゃしないよ。そいつ次第だ」


「結構、意見はまとまった様だね。この毒を持っていくといい。お代は……そうだね、その毒を使ってどうなったか、を聞かせてくれればそれでいい」


「それじゃあね、勇者サマ御一行」


……

…………


「ヒヒヒ、いらっしゃい」


「どんな『薬』をお求めかな?」

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薬屋 物書未満 @age890

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