第5話<シーラの噺1>輪廻転生

本編も少しずつ書いてるのですが、筆のすすみが遅いので、シーラの話も並行して進めようと思います。


今回は生まれ変わりのこと。


シーラが私の体を使ってるとき、シーラは蜘蛛が部屋に入ってくると、ひたすら蜘蛛を殺さずに外に追い出してました。


生き物を不要に殺せないのがシーラでした。


そんなシーラがいた時期、私に話しかけてきたある存在が、こんな話をしてくれました。


「シーラは、蜘蛛を殺さないんですよ」と。


蜘蛛だけじゃない。できる限り入ってきた生き物は逃がそうとする。

これこそゴキブリさえも。

それは、シーラが殺生を嫌うからだと。


「だけど、蜘蛛や他の虫は、シーラに殺してほしくて部屋の中に入るんです」


苦笑しながら彼は続けました。


「生前に罪を犯した魂は虫やそれに等しい存在になることがあるんです。

彼らは、人間になれないなら死んだほうがいいとばかりに殺されにくるんです。

そして、殺された時に「ありがとう」と笑いながら死んでいくんです。


一つの生を全うして終わると、次の人生が待っている。

自殺ができない生き物は、そうやって次の人生に行くこともあるようです。


「でも、シーラは虫や蜘蛛はあまり好きじゃなかったんですよね、殺すのが嫌ですぐ外に出してしまうんです」


そう言って彼は苦笑していました。


彼、仮でカミサマからきいたことですが、人間は基本的には人間に生まれ変わるそうです。

ただ、稀に畜生道などに堕ちて動物に生まれ変わる方もいるんだそうです。

そして、動物に生まれ変わる人は来世では人間に生まれ変われないようです。

そして、逆に、稀に人間に生まれ変わる動物もいるのだそう。

人間に尽くし、徳を重ねた魂なのでしょう。


では、虫になる命とはどんな命なのか。

シーラが助けていた虫や蜘蛛はなんなのか。

殺されて礼を言いながら死ぬって、とても恐ろしいことなのではないか?と私は考えます。


そんな私に、彼はもう一つ教えてくれました。

魂のはじまりは、ゴカイくらいの海の生き物に始まって、ゆっくりと年月をかけて魚に生まれ変わった魂が両生類→爬虫類→鳥類→哺乳類に生まれ変わっていくことを。

罪を犯したり、殺生を繰り返すと階級がどんどんさがっていくのだそうです。

でも、それが生き物です。

生き物は殺生をしないと生きてはいけません。

だからこそ、四足哺乳類の次の階級である人間にはなかなかなれないのだそうです。


「じゃあ、人間で徳を重ねた人はどうなるのですか?」


と尋ねたら、「草や花になります」と答えてくれました。

とても意外でした。

人間の次が植物?と。


カミサマ曰く、人の次は草になり、人に踏まれて、それでも懸命に生きて。

そうして次は木になるんだと教えてくれました。

木になり、ひたすら人を見続け、何年も過ごし、それから先は、神様に近い領域の方になるんだとか。


カミサマのいうことが、どこまでほんとで、どこまで嘘なのかはわかりません。

でも、私はカミサマの言うことは外れてはいないと思うのです。

御神木が神様になる前の形なのだとしたら、神様は植物の世界とつながってるのではないかと思えるからです。

また、娘娘も、榊があると神様と繋がりやすくなるといっていたので、あながち全く関係ないことではない世界の話ではないのかもしれません。


カミサマは、シーラのいる間、いろんなことを私に教えてくれました。

勿論シーラも。

この次は、シーラから話してくれたことをお話しようと思います。




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