第3話 私のこと

私は、至って普通の家庭に生まれた。

あえていうなら、父はしつけと称して手や足が出るタイプで、短気で傲慢な人だった。


そして母は、娘が成人してもことあるごとに干渉してくる、過保護を通り越した過干渉タイプで、とても感情的な女性であった。

両者プライドがとても高く、物心ついた頃には既に関係に亀裂が入り始めていた気がする。

そして姉は、長女らしい気質を持ったしっかりもので、時にずるく生きる賢さを持つ人。

弟はというと、神経質で生真面目、きょうだい一頭がよく要領がいいタイプ。

そして妹は、正義感が強く、不器用な優しさを持つ反面、ものすごく頑固な性格の子だった。

そんな人々のいる家庭が私の家。


それ以外の情報がすっぽり記憶が抜け落ちてるのは、私の代わりに彼女がその半生を生きてきたから。


シーラだ。


だから、これは私の人生でなく、彼女の生きてきた半生を語ることでもある。


ちなみに、こんなどうでもいい家族構成云々をここで詳しくお話しているもう一つのわけは、この後シーラが現れたとき、もう一度この家族の話題が出てくるからだ。


しかも笑ってしまうくらい突拍子もない形で。


さても、なんのことはない普通?の家庭に生まれた私だが、他のきょうだいと違って私は変わり者だった。


大人しく、一人でいることを好み、外で活発に遊ぶよりも、ひとり、いろんな想像をして創作活動をするのが好きな子供だった。

そんな子だったもので運動はからっきし。

父からの掌底もきょうだい中トップでまともに食らうほど鈍い子供でもあった。


両親はとかく教育やしつけにはうるさいほうで、しつけと称して子供を抑え込むタイプだった。


父が恐ろしく、母も手厳しくあったので、私はどんどん胸の内に自分の気持ちを閉じ込めていくようになる。

きょうだいも私の味方ではなかったし、こんな性格だったものでいじめを受けたこともある。

心の状態を保つには、そのときの私には心の支えが必要だったのだと思う。

この時から私はイマジナリーフレンドなりタルパを描いて心を慰めていくようになる。


こんな子だった私だが、この時点で私は特殊な力もなければ霊感もなかった。


なぜこの話をしたか、だが、それは、私が後天的に、霊感に類似した感覚を手に入れたからだ。


それまではちょっとした怪談めいた体験はしたことがあっても、ほんとにたまたまそういうことがあっただけで、ほぼそういう世界とは無縁だった私。


社会人になり、その体験は次第に増え、何故か霊感の強い人間に囲まれるような流れに入っていく。


そんなわけで、これからはシーラの話から少し脱線して、ちょっとした昔話をしようと思う。

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