第4話 幸運星
自転車に跨り学校へ向かう。
幼馴染の静香はバスを乗り継いで学校に向かうので、一緒に登校しない。
ただ雨の日は僕もバスを使う予定なので、その時は時間が合えば一緒になるかもしれないけれど。
朝の街中はバス待ちしている人や駅に向かって行く流れ、そして徒歩や自転車で通学通勤中の人をちらほらと見かける。
通学時間が40分で朝のホームルームは8時半からだから、僕は余裕を持たせて7時30分に家を出た。
受験で学校に行った時も、始業式の時も車で送ってもらったので自転車登校は初となる。
だからもしかしたら道に迷ったりするかもしれないと考えて、早く出たのだった。
行き交う人の中に女性がいれば必ずおっぱいチェックをし、その大きさに一喜一憂しながらの登校は楽しい。
いいおっぱいの持ち主がスタイル、容姿に優れている時なんかはガッツポーズをとり歓声を上げたいところだ。
声を掛けて連絡先の交換を申し込みたいところだが、如何せん僕はシャイだったりする。
何か機会が無いと話し掛けるのを躊躇ってしまい、軟派な真似ができない。
もっと積極的になれれば、もしかしたら近いうちにおっぱいを揉むことも出来るかもしれない。
だが逆に周りから浮いてしまって、機会を潰してしまうのも怖い。
どうすることが正解なのか。
そんなことを悩みながらも順調に進んでいく。
ある程度進むと、僕が今までに行ったことが無い地域にまでやって来た。
大きな橋があって、その先に用事がこれまで無かったので未知の領域となる。
不安とワクワク感が混ざった複雑な感情。
思わず橋の手前で止まってしまう。
そんな時、横を僕が通う学校の制服を着た女生徒が自転車で通り過ぎて行った。
残念ながらおっぱいは見えなかったが、後ろ姿をなんとなしに追う。
横風が吹いて、女生徒の髪が靡く。
髪を整えようとしてか、彼女は片手をハンドルから離して髪に手をやった。
違う、そうじゃない。
君が抑えるべきは髪じゃないんだ。
スカートだ。
スカートをサドルとお尻の間に挟んでいなかったのか、青地に星柄の下着が見えているじゃないか。
なんという少女にとっての不運。
そして僕にとっての
まるで僕の未来が輝かしいと暗示しているかのようなそんな光景。
僕は地面に置いていた足を上げ、サドルに乗せて漕ぎ出した。
不安なんかもうどこにもない。
輝かしい未来の象徴を追うんだから。
橋は長い。
今から追えばもっとパンチラが拝める。
待ってくれ僕の幸運星。
羅針盤の無い航海で北極星を指針にするように、僕は彼女を追いかけた。
橋を越え、風が止んだ。
夜空に幕が下ろされる。
ああ、僕の幸運星。
落胆する僕に幸運の女神は未だ微笑む。
春風という名の女神が。
星がまた輝く。
ああ戻って来てくれたのか幸運星。
僕はどこまでも星を追った。
気付けばこうもんが見えていた。
違う。そうじゃない。
学校の校門が見えていた。
決して彼女はパンツを脱いでいないから肛門は見えていない。
駐輪場に自転車を置き、生徒用玄関に向かう。
その間も僕は、星を何度も思い出して心に刻みこんだ。
今日の夜に思い出せるよう。
あの夜空をおかずにするために。
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