わたしのばんです
「これくらい一人で見られないの?」
海に呼び出されて海の自宅にやって来た私は普段なにも載っていないテーブルに置かれたノートパソコンと海の顔写真付きのはがきサイズの紙を見て呼び出された理由を察知しました。
「折角だから明日香と一緒に喜びを分かち合いたいと思ってな」
「落ちている可能性もあるのに、随分とお気楽な思考回路をしているのね」
「だ、大丈夫だろ。大丈夫、だよな?」
「安心して。仮に落ちていても慰めたりはしないから」
私はそう言ってホームページ上での合格発表の時間を五分も過ぎているのにもかかわらず一向にサイトを開こうとしない海に代わって海と美沙の二人が受験した森拓大学のホームページを開きました。
「お、おい! まだ心の準備が」
「確か、美沙の受験番号は1947……あった。海は2068ね……」
私はうっかり見逃してしまわないように数字を声に出しました。
「2001、2005、2006、2007、2009、2019、2022、2040、2121……」
「嘘……だろ?」
あんなことを言っておきながら、私も信じることが出来ずに画面をスクロールして再度数字を確認しました。
「あ、ごめんなさい。見落としていたわ。2068」
「よっ……かったぁ!」
海は尋常ではないほどの冷や汗をかきながら床に大の字になって寝そべりました。
「合格おめでとう」
「おう、次は明日香の番だな。頑張れよ」
「言われるまでも無いわ」
口ではそう言った私ですが、その応援は私にとって何にも代えられないほど心の支えになりました。
七海 「海先輩、美沙先輩合格おめでとうございます」
柚鈴 「おめでとう!」
美沙 「二人とももう知っていたの?」
笑舞 「恐らく、情報の発信源は報道部ではないかと」
笑舞 「それはそれとして、合格おめでとうございます」
美沙 「みんな、ありがとう」
海 「遅くなったが俺からも感謝するよ」
海 「特に美沙には世話になったからな」
美沙 「うん、お世話しました」
美沙 「大学でもよろしくね」
海 「おう!」
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