かくしたものをさらけだして
「あっれ? 私は海には一人で来るように言ったはずだけど?」
「お前が二人きりで会いたいと言ってくるときほど信用の出来ない事は無いからな」
「まぁ、明日香じゃなくて美沙を連れてきたことは褒めてあげるよ」
伊吹はそう告げると両手を大きく広げて訳もわからないままこの場に連れてこられた美沙の前に立ちました。
「ほら、私は抵抗しないからご自由にどうぞ。紳士な海は自分が私の身体に触れないために美沙を呼んだんでしょ?」
「ちょっと、状況が理解できないんだけど?」
「取りあえず、何も聞かずに伊吹をくまなくボディチェックしてくれ。話はそれからだ」
そう言った海は伊吹とは真逆の方向を向いて伊吹から目を逸らしました。
「遠慮せずにどうぞ」
「よ、よく分からないけど。ごめんね」
美沙は言われた通り、頭の先からつま先までたっぷりと時間を使ってくまなくボディチェックをしました。
「伊吹、よくこんなに持って歩けるね」
「まぁ、報道部だからこれくらいは普通かな」
伊吹のボディチェックをすると、あんな所からこんな所まで至る所から二十数個のボイスレコーダーが出てきました。
「終わったか?」
「これで全部だと思う」
美沙の返答を聞いてこちらを向いた海は無数のボイスレコーダーを見て溜息を吐きました。
「ったく、無駄に用意しやがって」
「出すもの出したんだから、ちゃんと私の話を聞いてくれるんでしょ?」
「わかったよ。美沙、申し訳ないけどもう少しだけ同行してもらえるか?」
「別に構わないけど……」
美沙がそう告げると、海はホッとしたような表情を見せましたが、伊吹の方は不服そうな表情をしていました。
明日香 「それで、何の話だったの?」
美沙 「告白」
美沙 「伊吹から海に」
美沙 「残ったこと後悔したよ」
明日香 「海は?」
美沙 「ん?」
明日香 「海はなんて答えたの?」
美沙 「今は誰とも付き合う気は無いって」
美沙 「伊吹とよりを戻す気もないし」
美沙 「美沙や明日香から何を言われても」
美沙 「生徒会長でいる限りは期待に応えられないって」
明日香 「そう」
美沙 「もしかして、ホッとした?」
明日香 「する訳無いでしょう」
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