ようひし
特に用事があった訳では無いのだが、何かに呼び寄せられるように購買に立ち寄ってみると、見覚えのある明才高等学校生徒の中でも特に見覚えのある少女が居た。
「おやおや、海パイセンじゃないですか」
「さやちゃんが俺を呼び寄せたんじゃないのか?」
「はて? 何のことかさやちゃんにはさっぱり」
驚くほど堂々とさやちゃんはすっとぼけていた。
「でも、でも、丁度良かった。ナイスタイミングですよ! 海パイセン」
どうやら今回は、俺がたまたま購買にやって来たという体で話を進めるらしい。そういう事なら俺もその体で話を聞くことにしよう。
「実はですね、とある時期にとある場所でとある物語をお伝えする仕事をとある人物から頼まれまして」
「いつもながら分かりにくいが、いつにも増して分かりにくいな」
「まぁまぁ、続きを聞いて下さい。とにかく、とある事情のために羊皮紙の様なものがないか探しているので一緒に探してください」
「いやいや、この学校は色々と常識外れではあるけれど、流石に羊皮紙なんて代物は……」
「あるよ」
突然物陰から現れた男子生徒……
「これはさやちゃん的にもびっくり仰天、驚き桃の木山椒の木です」
訂正。この場に居る全員扱うネタが古かった。
「僕はここでアルバイトをしているから知っているだけ。ただそれだけ」
「だそうです」
「そうか……」
圭祐は羊皮紙をさやちゃんに渡すと特に何かを語る訳でもなく物陰に戻って行った。
「海パイセン……本当にさやちゃんの仕込みじゃないですよ」
珍しく真面目な表情でそう告げるさやちゃんを見て
生徒会議事録
もうすぐ会長という職に就いて一年だが、未だに名前も顔も知らない生徒っているもんだな。 芹沢
当たり前でしょう。今年度の全校生徒数は六百人を超えているのだから。 明日香
正確には六百四人ですが、改めてこの学校の生徒数の多さには驚かされますね。 笑舞
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます