とりちがい
喉の渇きを感じたナナは机の左端に置いていたペットボトルを手に取ろうと、手を伸ばしましたが、ナナの手は虚空を掴むことしか出来ませんでした。
「あれ?」
自分の机の左端を見ても、右端を見ても、あるはずがないとわかっていながら中央を見ても、キャップとラベルにナナの物であることを示す『七』の字が記されたペットボトルは見当たりませんでした。
「何か探しものか?」
「はい、実はナナのペットボトルが……」
声を掛けてくれた海先輩にそう応えようとしたナナは海先輩の手元に視線が向きました。
「海先輩……そのペットボトル」
「ペットボトル? ……あっ!」
海先輩は手元に置いてあるペットボトルを見つめると、口元を引きつらせながら手に持つ『七』の字が記されたペットボトルを見つめました。
「ゴメン! 俺、全然気が付かなかった」
「き、気にしないで下さい。ナナは気にしないので」
本当は良い意味で気にしていましたが、つい嘘を吐いてしまいました。
「本当にゴメンな。すぐに同じもの買って来る」
「そ、そんな気にしないで下さい」
ナナの発言を聞く前に海先輩は急いで購買へ向かっていきました。
「ナナ、嬉しそうな顔をしているわ」
「え、笑舞っ!? もしかして、見てた?」
「それはもう、バッチリと。でも、安心して。明日香先輩たちには内緒にしておいてあげるから」
「ありがとう。助かるぅ」
感謝するナナを見ていた笑舞の表情は子供を見守る親のようでした。
生徒会議事録
海、今日はスポーツドリンク二本も飲んだの? 美紗
二本も飲むほど今日は暑くなかったと思うけれど? 明日香
そういう気分の日だってあるだろ? 芹沢
うん! あるよね! 柚鈴
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます