かじせみなー#3

 いつの間にか家事セミナーの講師という役割を完全に押し付けられていた私は午後から行われる三度目の家事セミナー用に頼んでいた物を回収するため、主に運動系部活動が使用するランドリールームへやってきました。

「あ~ちゃん、ごめん!」

 ランドリールームに入ると、目に大粒の涙を浮かべた紗綾が私に抱き付いてきました。

「何? いきなりどうしたの?」

「これ……」

 紗綾が私に見せた物は、私が紗綾に頼んでランドリールームの洗濯機で洗濯してもらったバスタオルでした。が、そのバスタオルにはただ洗濯をしただけでは絶対に付くことのないゴミが大量に付着していました。

「さーちゃん、バスタオルを洗濯して欲しいとお願いしたはずだけど?」

「ごめんね。どうしてもこれを洗いたくて」

「ジャージ……」

 それだけなら私も怒るもとい呆れる事はありませんでしたが、私が呆れてしまった原因となったのは、そのジャージにどういう理由か大量に入っていたポケットティッシュでした。

「ちゃ、ちゃんと洗い直すから許して」

「はぁぁぁ……そのままにしておいて。今回の家事セミナーはこれを利用させてもらうわ」

 紗綾を責めても仕方が無いので、今回の題材を『ティッシュを洗濯してしまった時の対処法』に変更することで許してあげることにしました。



生徒会議事録

 今回も明日香の講習ためになったよ。 芹沢

 あんな簡単な方法でティッシュが取れるなんて思わなかった。 美沙

 今の時代、検索すればすぐにわかる裏技ではあるけれどね。 明日香

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