せいかつおん

 体育祭と文化祭が二日に渡って行われる明才祭めいさいまつりを一週間後に控える我が校では今日も銃声のような爆音が生活音として当たり前のように鳴り響いていた。

「海パイセン、この音って誰鈴先輩が鳴らしている音なんですか?」

「さやちゃん、もう答えはわかっているよね?」

「さやちゃんではない人たちが知りたがっていると思うので教えてくださ~い」

 明才高等学校の関係者なら漏れなく知っているはずの事ではあるが、さやちゃんの言うのために話してあげることにした。

「さやちゃんに話すような感じでお願いします」

「注文が多いね。今更聞くことではないけど、柚鈴のことは知っているよね?」

「当たり前ですよ。現生徒会の会計で体育と数学の成績がずば抜けて優秀な高身長美少女さんですよね?」

 さやちゃんが改めて柚鈴の説明をしてくれたことで周りからは柚鈴が高身長美少女だと思われていたのだと知った。

「それはそれとして、どうして柚鈴先輩の話を?」

「結論から言うとこの音の発生源はその柚鈴なんだよ」

「わかっている上で言いますね。海パイセン何を言っているんですか?」

「それはそうだけど、事実だからな」

 そう言っている間にも柚鈴が発生源の爆音が鳴っていた。

「この時間だと……野球部の助っ人か」

「何をしていたら野球でこんな音を鳴らせるんでしょうね?」

「柚鈴ならボールを投げても、ボールを取っても、ボールを打っても鳴らせるような気がするな」

 改めて、柚鈴は常人では出来ないことを軽々とこなしてしまうやつだと改めて実感した俺だった。

「ちょっと~ 一人で自己完結しないで下さいよ」

「悪かったよ。でも、これ以上説明することも無いだろう?」

「ありませんけどぉ~ ありませんけどぉ~」

 身体を左右に揺らしてそう告げるさやちゃんは今回のオチは納得できないみたいだった。



生徒会議事録

 ユズリン、今日はグラウンドの真逆にまで音が聞こえて来ていたよ。 美沙

 白熱するのは良いけれど、ほどほどにして貰えないかしら。苦情が無い訳でもないのだから。 明日香

 やはり、少なからず苦情は来ていたのですね。 笑舞

 凄く大きな音だからね。 七海

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