ぬいぐるみ
「わぁ、どこのクラスも凄いことになっているね」
「お化け屋敷や喫茶店はわかるけれど、洋服屋や雑貨屋まで出店していると祭というよりも商業施設のようね」
来週からは丸一日に渡って明才祭に時間を費やせるようになるからなのか、どこのクラスも放課後に入るとすぐに教室のレイアウトをそれぞれの店舗仕様に模様替えを開始していました。
「笑舞のクラスって何屋さんだっけ?」
「ワタシのクラスはハンバーガーショップよ。颯さんがノリノリでこの間の休みは色々なハンバーガーショップを巡ったわ」
ワタシも颯さんもクラスの仕事にはあまり関わることが出来ないのでその時間は無駄と感じられてしまわれそうですが、ワタシたちは楽しかったので充実した時間だと考えることにしました。
「ナナのクラスは確か……」
「手芸部の子が指揮してぬいぐるみ屋さんをやるよ! まだ試作品だけど、こんな感じのぬいぐるみを作っているんだぁ」
満面の笑みでそう告げたナナはワタシにスマートフォンの画面を見せつけてきました。
そこには、手のひらサイズの小さなぬいぐるみが映っていて、それはどれも明才祭という学校行事だけで販売するのは勿体ないほど良い出来でした。
「ネコもクマも可愛らしいけれど、どことなく顔つきがナナに似ているような気がするわ」
「えぇ~!? で、でも言われてみれば……」
「こんな可愛らしいぬいぐるみすぐに売り切れてしまいそうね。予約は出来るのかしら?」
「買ってくれるの?」
「折角だもの」
「お買い上げありがとうございます。一番出来が良いのを用意してもらうね」
笑顔でそう告げるナナがあまりにも可愛らしすぎてワタシは無意識にナナを撫でてしまっていました。言うまでもなく嫌がられてしまいました。
七海 「綿子ちゃん、ぬいぐるみの予約って出来る?」
綿子 「おいおい!」
綿子 「販売分だけで手一杯だぜぇ」
七海 「駄目だよね……」
綿子 「ちなみに、誰の予約だい?」
七海 「笑舞から」
綿子 「笑舞……ほおぅ」
綿子 「気が変わったよ」
綿子 「アタイに任せな!」
七海 「本当!?」
七海 「綿子ちゃんありがとう!」
綿子 「へへっ、良いって事よ」
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