げきからぐみとぱふぇ
柚鈴先輩を通して愛知紅里先輩に呼び出されたワタシと明日香先輩は喫茶ロトルへやって来ていました。
「明日香先輩と柚鈴先輩だけならわかりますが、何故ワタシまで誘われたのでしょうか?」
「さぁ? 私にもわからないわ」
わからないとは言いつつも思い当たる節が無い訳でもありませんでした。
「いやぁ~ お待たせしちゃってごめんね。まだ試作段階だから作るのに手間取っちゃって」
「二人とも聞いて! 今日は試作品の試食だからお代はいらないって!」
楽し気にそう話す二人が持っていたトレーの上には真っ赤に色づいたパフェが載っていました。
「新作のパフェ……ですか?」
「そう。文化祭で先行販売してからここでも出すつもり」
「試食担当がワタシたちなのも理由があるんだよね!」
「その通り。このパフェは三人……特にこのパフェを見た途端あからさまに嫌な顔をした明日香ちゃんに認めてもらえなければ販売することが出来ないから」
「つまり、甘いものが苦手な私でも食べることの出来るパフェという事かしら?」
紅里先輩はその問いには答えずにただ微笑んで首を傾げていました。
「とりあえず、騙されたと思って食べてみて」
「いただきます!」
「では、頂かせていただきます」
ワタシはピンク色というよりは紅色に近い色合いのソフトクリームをスプーンですくい口に運びました。
「!?」
ソフトクリームが口の中に入ると、ワタシの身体は良い意味で雷に打たれたような刺激を感じました。
それは柚鈴先輩も同じだったようで、想像もしていなかった衝撃的なその味に目を見開いて驚いていました。
「アッスー絶対好きだから食べてみて!」
「明日香先輩好みなのは間違いありません」
「どうしても食べなくてはいけないの?」
「好き嫌いは食べてから言いなさい!」
そう言って明日香先輩のパフェをスプーンですくった紅里先輩はそのスプーンを無理矢理明日香先輩の口に突っ込みました。
「ん~~~~! ……ん? ん!?」
ワタシたちが感じた刺激と同じ刺激を明日香先輩も感じたようで、明日香先輩は紅里先輩の手からスプーンを奪い取るとつい数秒前までパフェを食べるのを拒んでいたとは思えないほど美味しそうにパフェを食べていました。
「この様子を見る限りだと、成功?」
「いえ、大成功かと」
パフェは甘いものという固定概念を壊した激辛パフェは少なくともワタシたち激辛組には大好評でした。
生徒会議事録
明日香からパフェの画像が送られてきたのだが。 芹沢
美沙も。甘いもの苦手なのに珍しいよね。 美沙
笑舞から聞いた話ですが、そのパフェ激辛みたいです。 七海
パフェが、激辛? 小雨
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