さしいれ
「会長、この段ボールは一体?」
昨日までは広々としていた生徒会室が今日は引っ越しの時以上の段ボールで埋め尽くされていました。
「俺もよくわからないが、どうやら林華先輩の仕業らしい」
会長は段ボールに張り付けられた配達票を指差しながらそう言っていたので配達票に目を向けてみると、送り主の欄に二世代前の生徒会長で現在はアイドルとして老若男くらいまでの支持を得ている草木林華先輩の名前が書かれていました。
「林華先輩からこんなにも何が送られてきたのでしょう?」
「阿須那先輩経由で『文化祭で頑張っとるみんなに林華が差し入れ贈るらしいわ。ありがたく受け取ってや』って連絡があったから、タイミング的には差し入れで間違いないと思うが……」
「林華先輩、明らかに発注数を一桁間違えていますよね」
「やっぱりそうだよなぁ」
あまりに林華先輩らしい失敗だったのでワタシは呆れるどころか笑えて来てしまいました。
「取りあえず、この段ボールをどうにかしないといけないな」
「そうですね……学生食堂の一部をお借りするのはどうでしょうか? あそこなら十分なスペースがありますし、生徒も多く訪れるので差し入れを持って行ってもらいやすいかと」
「それが良いな。笑舞、悪いが颯に連絡して男子バスケ部に来てもらえるようにお願いしてくれないか」
「わかりました。流石にこの数を生徒会だけで運ぶのは難しいですからね」
ワタシはすぐさま颯さんに連絡をして、男子バスケットボール部のみなさんに協力を要請しました。
阿須那 「芹沢ちゃんには毎回言うとる気がするけど」
阿須那 「ホンマ林華が迷惑かけてすみませんでした」
海 「気にしないで下さい」
海 「というか、すみませんはこっちの台詞です」
海 「あんなにいっぱい差し入れを頂いて」
海 「発注ミスだと思いますけど」
阿須那 「芹沢ちゃん、ここだけの話なんやけど……」
阿須那 「あれ、発注ミスちゃうねん」
海 「えぇ~!?」
阿須那 「あれ、林華が本気であの数注文してん」
阿須那 「止めんかったウチのせいやね」
阿須那 「ホンマにすみませんでした」
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