あるこーる

「むぅ~」

 生徒会室へやって来ると、先に来ていたナナが自分の机に突っ伏して唸り声をあげていました。

「笑舞は良いよなぁ」

「何の話かしら?」

「笑舞は今回も颯くんと同じクラスなんでしょ?」

 そう言われてナナが何を言いたいのか理解が出来ました。

「クラス替えの話ね。本当に残念だったと思っているわ」

「なんでナナだけ一人なのっ!」

「流石のワタシでもクラス替えまでは口を挟めないから」

「梨々花ちゃんまで別のクラスになってナナ一人きりで寂しかった」

「そうだったのね」

 休み時間にナナの教室を覗いた時にはナナは同級生に囲まれて餌付けもといお菓子をたくさんもらっている姿があったのでてっきり初日からクラスに馴染んでいるものだと思っていました。

「ねぇ~ 笑舞の力でどうにかしてよぉ~」

「申し訳ないけれどワタシにはそこまでの権力は無いわ」

「う~そ~だ~」

「ちょ、ちょっと急に抱きつかないで」

 急に起き上がったナナは覆い被るようにしてワタシに抱き付いて来ました。

「ナナ? 何か変よ」

「何も変じゃな~い」

 明らかに普段とは異なっているナナの顔を見てみると目がトロンと垂れさがっていて、その様子はまさに、

「ナナ、もしかして酔っ払っているの?」

「酔ってなんて無いよ~」

「……ウイスキーの入ったチョコでも食べたでしょ?」

「チョコ~? い~っぱい食べたよ~」

 大きな溜息を吐いたワタシは覆い被さるナナを連れたまま給湯室へ向かい冷たい水を飲ませました。



生徒会議事録

 皆さん、ご迷惑をお掛けしました。 七海

 俺たちは特に被害は受けていないが、アルコールの入ったチョコレートは気をつけるようにな。 芹沢

 アルコールを含むお菓子の持ち込みは今後禁止にすべきだと思うのだけど。 明日香

 大事にはなっていないにしても、こうなってしまった以上は検討すべきかもしれないね。 美沙

 黙認は出来ないからね! 柚鈴

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