ねっくれす

「さて、何にしようかしら?」

 生徒会の休日を利用して雑貨店へ赴いていた私はちょうど二週間後に迫った美沙の誕生日を祝うためのプレゼントを探していました。

「これは……」

 私の目に留まったのは本のような飾りが付いたピンクゴールドのネックレスでした。

「確か、美沙の部屋に飾ってあったわね。ピンクの剣士の本」

 私にはあまり良さはわからないけれど、美沙が今でもが好きだと言うのなら私はそれを否定するつもりはありません。今も、これからも。

「あっ」

「えっ?」

 私がネックレスを手に取ろうとしたその瞬間、私の意図せぬ方向から伸びてきた手が私の手よりもコンマ数秒早くネックレスに触れました。

「あ、明日香」

「海……」

 私は自然と海のことを睨みつけていました。

「わかったよ。最初に見つけたのは私。そう言いたいのだろう?」

「よく分かっているのね」

「あぁ、幼馴染だからな」

「ムカつく」

「俺には見せない本当の明日香的に言うなら、激おこって感じか?」

 海の誕生日である八月九日にはまだだいぶ早いですが、私はみぞおちに重い拳をプレゼントして会計に向かいました。




海   「さっきは悪かった」

明日香 「許すとでも?」

海   「思っていないよ」

海   「こんな時に俺がどうするか」

海   「明日香ならわかるだろ?」

明日香 「知っている」

明日香 「だからこそ」

明日香 「大嫌い」

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