さぷらいず
「こ~んに~ちは~」
「アポなしやけど邪魔するわ」
アイドルとしてここ最近テレビ番組で見かけることが多くなった草木林華先輩とそのマネージャーで何故か林華先輩の出演番組に高確率で映り込む桜居阿須那先輩は生徒会室の扉横に付いているインターホンを押すことなく生徒会室へ飛び込んできました。
「かいちょちゃん! 今日は何の日でしょう?」
「千景先輩の誕生日ですよね?」
「正解!」
このやり取りは僅か二秒で行われました。
「千景先輩を敬っているのは知っていたけれど、流石に気持ち悪いわ」
「うん、流石の美沙もちょっと引いた」
「ホンマ、その速度で正解を言い当てるのはきもいわ」
言葉には出しませんでしたが、ワタシも明日香先輩、美沙先輩、阿須那先輩と同意見でした。余談ですが柚鈴先輩はただただ笑っていました。
「だから! ちーちゃんに今の生徒会からサプライズでお祝いメッセージお願いね。よーいスタート」
「仕事中にごめんな。このアホ垂れもうウチが何言うても聞かないモードに入ってもうたから付き合ってあげて」
阿須那先輩が不憫で鳴らなくなってしまったワタシは明日香先輩、美沙先輩とアイコンタクトを取って協力することを決めました。
「まずはかいちょちゃんから!」
「俺ですね! 千景先輩お誕生日おめでとうございます。キャンパスライフ楽しんでください!」
「次、美沙ちゃん」
「はい、美沙です。千景先輩お誕生日おめでとうございます。今年も千景先輩のお誕生日をお祝い出来て良かったです。いつでも遊びに来てください」
「可愛い! 次は明日香ちゃん」
「千景先輩、お誕生日おめでとうございます。良い一年となる事を祈っております」
「うん、堅いね! 次は柚鈴ちゃん」
「千景先輩! お誕生日ですか! おめでとうございます! 元気で頑張ってください!」
「元気だね。次は笑舞ちゃん」
「お誕生日おめでとうございます。姉さまがご迷惑をお掛けしていないでしょうか? こんなことを聞いたなんて姉さまが知ったら後が怖いので姉さまにはこの動画は見せないで頂けると幸いです。またお会いできることを楽しみにしております」
「笑舞ちゃんは本当にふーちゃんが好きだねぇ。最後は七海ちゃん。トリだからねぇ」
「えぇ~!? ナナにトリが務められるかわかりませんが。千景先輩お誕生日おめでとうございます。生徒会室が新しくなったので是非遊びに来てください。えっと、な、ナナが〆のコメントですか? い、以上生徒会からのメッセージでした。改めてお誕生日おめでとうございます! えへへぇ」
「はーいオッケー! それじゃぁねぇ~」
そう言うと林華先輩は満足そうに微笑んで生徒会室を出て行ってしまいました。
「ホンマ迷惑かけてすんません。これ、お詫びに」
「阿須那先輩、流石に学食の無料券はこれ以上要らないです」
「そうだと思って今回は別のものや。皆で楽しんでくるとええわ。ほな、ウチも行くわ。こらぁ、林華待たんかい!」
林華先輩を追って生徒会室を出て行った阿須那先輩から受け取った封筒の中身を会長が恐る恐る取り出してみると、明才高等学校の最寄り駅前に最近出来た食べ放題のお店の招待券が入っていました。
「今度、皆で行くか」
会長の言葉にワタシたちは隠しきれない笑顔を浮かべながら頷きました。
生徒会議事録
林華先輩は俺の名前憶えていないよな。 芹沢
そんな事は無いと思いますよ! 七海
林華先輩のことだから本当に知らない可能性もありそうね 明日香
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