ひーりんぐ

「にゃぁぁぁ!」

 招き猫みたいな仮面をかぶった怪人の攻撃でも喰らってしまったのか、ユズリンは猫の泣き声のような叫び声をあげて美沙が作った試験対策用のプリントの上に突っ伏してしまいました。

「ユズリンどうしたの?」

「やる気がぁぁぁ……出なぁぁぁい!」

 今日の……というより今回の試験勉強を始めてからのユズリンは集中力が全開の試験勉強の時と比べて大幅に無くなっているように見えました。

「ユズリン、もう少しだけ頑張ってみない?」

「頑張れなぁぁぁい!」

「そっか、それは困ったね」

「ユズリン、どうして今回は海君もアッスーも来ないの?! 二人が居ないと静かすぎて勉強に集中できないよぉ!」

「そうだね……」

 本当は今回も海の家に集まって勉強会を行うはずだったのに、今回は海の都合でそれが実現できなくなってしまいました。

「代わりになるかどうかはわからないけれど、音楽でも流す?」

「聞きたい!」

「静かにならないように流すだけだから、聞き入らないでね」

 美沙はユズリンにそう告げて、退屈なときに流している音楽を流しました。

「ふわぁぁぁ! ミササ、なんか眠くなってきた」

「えぇっ!?」

 音楽を流し始めてからまだ数秒しか経っていないのにユズリンは大きな欠伸をし始めました。

「ヒーリングミュージックは失敗だったかな?」

「すごく眠い! ちょっと寝るっ!」

 ユズリンにヒーリングミュージックの効果は絶大だったようで、勉強を放棄して床に寝転がったユズリンは十秒もしないうちに眠りについてしまいました。




柚鈴 「ミササ、さっきの音楽が入ったCD今度貸して!」

美沙 「気に入ったの?」

柚鈴 「うん! 目が覚めたらスッキリして勉強も捗ったから!」

柚鈴 「それに、昨日の豆まきで出来た痣も治った!」

美沙 「あえて聞かなかったけど」

美沙 「身体中にあった大豆くらいの大きさの痣って」

美沙 「豆まきで出来た痣だったんだ」

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