しごとはじめ

「よぉし、会議始めるぞぉ」

「おーーー!」

 本日から明才高等学校生徒会にとっての仕事始めだというのにもかかわらず新体制で始まった生徒会役員の中でやる気に満ち溢れていたのは柚鈴先輩だけでした。

「海君! ミササ! 七海ちゃん! 笑舞ちゃん! 小雨ちゃん先生! そして期待の新生アッスー! 元気が無いよ! 仕事始めなんだからもっと元気出していこぉ!」

「柚鈴さん、アッスーはやめて」

「仕事始めなので元気を出したいのは山々ですが、流石に体力が」

 以前からわかっていた事ではありますが柚鈴先輩を除き文化系に偏っている生徒会役員には昨年の26日から昨日までに積もり積もった雪の除雪作業という重労働はあまりにきつい仕事でした。

「ナナ、雪かきは初体験でしたけど……大変ですね」

「いや、本来ここまで大変ではないはずだ」

「手つかずにも程があるよね」

「いやぁ、校門から校舎まで広がる三メートルの雪壁を見た時は大・大・大・大・大興奮したね!」

「私は大恐怖だったけど」

 明日香先輩がボソッと呟いた言葉にワタシたちは大きく頷きました。

「運動部は流石だったな。チームワークといい、手際といい。生徒会も見習わないといけないな」

「その運動部はほとんどが女子だから凄いよね」

「その先頭に立つのが柚鈴先輩ですからナナたちも頑張らなくちゃって思いましたよね」

 その結果が開始直後から役員六名中五名(と顧問一名)が電池切れという状況でした。

「さて、だらけるのはこれくらいにしてそろそろしっかりしないとな」

「そうだよ! 今日は特に大事な日でしょ!」

「ユズリンの言う通りだね」

「初日から無様な姿は見せられないよね」

 二年生組が気合を入れ直しているのを見てだらけ続けているわけにはいかないのでワタシとナナ、そして小雨先生も気合を入れ直しました。

「生徒会会長 芹沢海」

「生徒会副会長 福品美沙」

「生徒会会計 早川柚鈴!」

「生徒会副会長 初島七海」

「生徒会書記 小柳橋笑舞」

「生徒会庶務 春風明日香」

「生徒会顧問 霧島小雨」

  ワタシたち役員は各役職が刺繍された腕章を左腕に装着し、腕章の無い小雨先生は襟を正しました。



生徒会議事録

 久しぶりに腕章を付けたけど、去年より綺麗になってない? 美沙

 綺麗というか、新品のような 明日香

 生徒会の新たな歴史の記念として千景先輩が新しい腕章を用意してくれた。 芹沢

 新たな歴史! 燃えるね! 柚鈴

 あくまで個人的な提案なのですが、以前の腕章は生徒会室に飾りませんか? 笑舞

 ナナは賛成です。 七海

 良い案だと思います。二年生組も賛成とのことなので近日中に額縁を用意しようと思います。 小雨

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